【6月5日 東方新報】中国政府・教育部は3日、「2019年第1号留学事前警告」を発表し、中国留学生が正常に米国に渡航し、米国において学業を順調に完了することに影響が出ているとして、大学生や研究者に向けて事前の準備をしっかりするよう注意を喚起した。以前から中国から米国に向かう一部の留学生がビザ発給で制約を受けており、審査期間の延長、ビザの有効期間短縮や発給拒否の割合上昇などの状況があると指摘している。中国国際放送局(CRI)が報じた。

 問題の背景には、米国が2018年以来、「反スパイ」を理由として渡米する中国人の多くに、ビザ発給を制限していることがある。中国の国家留学基金委員会の統計によると、中国は2018年に公費留学生1万313人を米国に派遣する計画だったが、うち331人がビザの問題で米国に行けなかった。今年第1四半期には、米国に派遣される計画だった公費留学生1353人中182人がビザの問題で渡航できなかった。

 米国留学をした多くの中国人学生は帰国後、中国社会の発展のために大きな貢献をしている。米国側も中国人留学生を受け入れたことで、経済面で大きな利益を得ているが、貿易と科学技術の分野だけではなく、教育分野の交流にも触手を伸ばし始めている。

 こうした動きの中、米国の有識者は米中関係の緊張と、学術交流についての審査が厳しくなっていることに懸念を表明した。米エール大学(Yale University)のピーター・サロベイ(Peter Salovey)学長は最近発表した公開書簡で、米国の最先端研究機関型の大学が卓越する上で開放こそが鍵であり、同大の終始一環した旗印でなければならないと強調した。「海外から来た学生や学者を歓迎、尊重している。開放は、米国のトップレベルの大学が素晴らしい成果を挙げる上での欠かせぬ要素であり、エール大学の特徴でもあり続けるべきだと考えている」と述べた。(c)東方新報/AFPBB News