■マスク氏の不可解な反応

 気まぐれなマスク氏は、ツイッター(Twitter)での議論に、矛盾する回答をしている。衛星の光反射率を下げる方法を模索することを約束する一方で、衛星群が「天文学の進歩に及ぼす影響はゼロ%だ」と言ったり、望遠鏡を宇宙空間に移動させるべきだなどと言ったりもしている。

 また、マスク氏は、自身が構築するネットワークを通じて「数十億人の経済的に恵まれない人々」に高速インターネットサービスを提供する取り組みの方が、「より大きな善だ」とも主張した。

 今後打ち上げる衛星の光反射率を下げる方法を模索することをマスク氏が申し出たことは喜ばしいが、なぜ事前に問題に対処しなかったのか疑問に思うと、キール氏は述べている。

 光学天文学者らが懸念しているとすれば、電波天文学者らは「ほぼ絶望」していると、キール氏は続ける。電波天文学者らは、4月に史上初めてその姿を捉えられたブラックホールのような現象の調査に、天体が発する電波を利用しているからだ。

 人工衛星の運用者らは、衛星の「副次的放射」を遮断する十分な手段を講じないことで知られている。電波天文学者らが研究に使用する観測波長帯域は、この副次的放射によって妨害される可能性がある。

「電波天文学者らが『事前の』対応を求めるのには正当な理由がある」と、キール氏は指摘する。

「これは、われわれの職業的関心を守るためだけではなく、人類の夜空を守るためでもある」 (c)AFP/Issam AHMED