【5月30日 AFP】中国スーパーリーグ(1部)に所属する北京人和(Beijing Renhe)は、29日に行われた同国FAカップ(Chinese FA Cup)の5回戦で3人のGKを同時に起用する茶番めいた采配を見せ、広州恒大(Guangzhou Evergrande FC)に0-5で敗れた。北京人和は実質的に試合を放棄したとして非難されており、中国サッカー協会(CFA)から処分される可能性が高い。

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 シーズンの3分の1が終了したリーグ戦で降格圏に沈んでいる北京人和は、この試合でベンチメンバーを7人まで置くことができたにもかかわらず、控え選手を3人しか登録せず、うち2人はGKだった。

 この日は控えGKにゴールを守らせたアウェーの北京人和は0-1でリードされていた43分、2人目のGKを投入。しかし、その選手はキーパーとしてではなく、負傷したFWとの交代でフィールドプレーヤーとしてピッチに入り、チームはその2分後に2失点目を喫した。

 その後リードを5点に広げられた北京人和は、残り10分を切った状況で3人目のGKを投入したが、この選手もやはりフィールドプレーヤーとして出場した。

 これに中国メディアは激怒し、勝利しようとする姿勢さえ見せなかった北京人和を批判している。

 スポーツニュースサイト新浪体育(Sina Sports)は、「哀れな中国サッカー」と記し、今回の件について「茶番劇」と表現。また、先発メンバーの多くに23歳以下の選手を起用し、3人の控え選手のうち2人がGKだったのは、「キックオフ前に試合を放棄したに等しい」と報道。PP体育(PP Sports)は「歴史的な瞬間」と伝えた。

 偶然にも、この試合では広州恒大も後半から2人目のキーパーを投入したが、そちらはGK同士の交代だった。地元紙の体伝周報(Titan Sports)は、1試合に5人のGKが出場した光景について「不思議だった」と報じた。

 北京人和のファンの多くも怒りをあらわにしており、あるサポーターは中国版ツイッター(Twitter)「微博(ウェイボー、Weibo)」で「恥ずかしくないの? GK3人だよ! 冗談もほどほどにしろ!」とつづっている。しかし中には、クラブが主力ではない選手をFAカップで起用することで、リーグ戦の残留争いを優先させたのは賢明だと考えている人もおり、「GKをFWとして起用するのがなぜいけない?」との声も聞こえた。(c)AFP