【5月31日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)アバ・チベット族チャン族自治州(Ngawa Tibetan and Qiang Autonomous Prefecture)汶川県(Wenchuan)では、5月に入ると、栽培されている2万7000ムー(約1800ヘクタール)余りのサクランボが低地から高地へと順に成熟し、次々と店頭で売り出される。11年前に地震で重度の被災区だったこの地は、今年もまた一年で最もにぎやかな収穫の時を迎えている。

 2008年5月12日、特大地震に襲われた汶川県に世界の注目が集まった。震災後の復興過程で、同県はアルカリ性土壌や昼夜の気温差が大きいといった地元の特徴を考慮し、以前から試験栽培に成功していたサクランボを特色ある産業振興の目玉に据え、住民たちの貧困脱却の足がかりにすることを目指した。

 汶川県のサクランボは標高1500メートルから2000メートル余りの場所で育つ。年間日照時間は1700時間以上で、出来上がったサクランボの糖含有率は平均24%にもなる。毎年、サクランボ狩りの繁忙期には、各地から「サクランボ好き」がどっと押し寄せる。

 今年の汶川サクランボ狩り祭の開幕当日には、豊富なサクランボ生産量を誇る同県克枯郷だけでも、サクランボ狩りと電子商取引(EC)、市場での販売など、各ルートを通じたサクランボ販売量が3万5000キロ近くに上り、200万元(1元=約16円)以上を売り上げた。サクランボを目当てに訪れる観光客の流れが地元の農家が経営する飲食店や民宿、特色ある農作物、生態レジャー観光、ECなどの業態を活性化させている。

 2018年には汶川県のサクランボ栽培面積は2万7000ムー余りとなり、年間生産量は1150万キロに達した。生産額は約3億4500万元に上り、世帯平均の収入は5万元以上を実現した。今やサクランボは、汶川県の人々を豊かさへと導く果物になっている。(c)Xinhua News/AFPBB News