【5月29日 MEE】

■イラン国民、ノーベル平和賞受賞のエバディ氏をスー・チー氏になぞらえる

 イランのノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者シリン・エバディ(Shirin Ebadi)氏が、カナダで開かれたイベント「第7回イラン・アカウンタビリティ・ウイーク(Iran Accountability Week)」にビデオ声明で参加し、イラン政府への経済圧力強化を支持したことで、怒りを買っている。

 イラン国民はソーシャルメディア上でエバディ氏の発言に反発し、同氏を同じくノーベル平和賞を受賞したミャンマーのアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問になぞらえた。スー・チー氏は、ミャンマーで起きたイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya) 虐殺への対応を怠ったとして、国際社会から非難を浴びた。

 エバディ氏は2003年、イランの著名な政治活動家らに対する支援の功績が認められ、ノーベル平和賞を受賞。2009年以降は英国に居住している。

■イランの問題は「制裁ではなく汚職」と経済学者

 物議を醸す発言で知られるイラン人経済学者ホセイン・ラーグファル (Hossein Raghfar)氏は日刊紙アルマン (Arman)のインタビューで、イランで現在起きている金融危機の根源は米国による制裁ではなく汚職だと述べた。

 ラーグファル氏は「現在(イラン国民の)一部が前例のない貧困を経験している一方で、貴族のような生活を享受している人々もいる」と指摘。「(イランにとって)国内最大の脅威は、低い社会階級の人々が、別の階級のあからさまで自己賛美的な貴族社会を街中で日々目にしていることだ。これは統治システムが下した決定の結果だ」と述べた。

■国際麻薬組織との闘い、制裁により減速

 イラン麻薬対策当局の元トップ、サイード・セファティアン(Saeed Sefatian)氏はエテマド(Etemad)紙に対し、オピオイド系薬物が国内で大量に流通する中、イランが規制を緩めれば、欧州は新たな薬物依存問題の波に襲われることになると指摘した。イランはこの1週間前、国際社会からの制裁により、アフガニスタンから欧州への麻薬密輸取り締まりに充てた予算の削減を強いられる可能性があると警告していた。

 イランは、アフガニスタンで生産され、トルコやブルガリアを経て西欧諸国へと持ち込まれるヘロインの主な密輸経路3本のうち1本を構成する国となっている。イラン当局によると、同国は国内の麻薬密輸組織取り締まりに年間110億ドル(1兆2000億円 )以上を投じている。