【6月3日 Xinhua News】「農民が革靴をはいて農業をやれるのが私の夢」。日本の東京農業大学(Tokyo University of Agriculture)を卒業し帰国した呉超峰(Wu Chaofeng)博士はこう述べた。2013年、日本での仕事を捨て、ふるさとの福建省(Fujian)泉州(Quanzhou)晋江(Jinjiang)に戻って起業した。

 呉博士は、スマート農業は農民をきつい力仕事から解放できると指摘し、「機械化により、身体障害者も農業に従事できるように」と高い理想を抱き、「これはかなりの程度、彼らの現地での就業問題を解決する」と期待感を示した。

 今や、呉博士のように、農村に入り新しいアイデアで農業の伝統的やり方を変える人は多くなっている。2018年、帰郷して革新・起業する人は計780万人に達し、うち高校以上の学歴は40%。

 晋江の起業農民特化のインキュベーター施設である「九九星創天地」では、平均年齢30歳未満の若者が活躍し、ここ2年の新卒者も珍しくない。

 洪良彬(Hong Liangbin)さん(28)はインキュベーター施設の創業者。2年前、「農業」は現地の若者にとって「不名誉」な就職選択肢だった。当時、洪さんの農業会社は求人難で困った。

 「農業関連と聞いただけで、電話を切る新卒が多かった」と、洪さんは振り返る。「大衆創業、万衆創新」(大衆による起業と万人によるイノベーション)が全国に広がったことを受け、農業インキュベーターをやり、「起業の形で、若者が農業革新に参加するよう促す」と心に決めた。

 「九九星創天地」はますます軌道に乗っている。インキュベーター施設が提供するスマート設備・技能訓練・ビジネス開拓サービスに支えられ、農村に復帰し、肥沃(ひよく)な土地に開拓する大卒が多くなっている。2年前、大卒数人が共同創業した園芸作坊は、すでに従業員が30~40人、年間売上高が1000万元(1元=約16円)超の企業に成長した。「九九星創天地」では、こうした例は少なくない。

 中国農業農村部の統計によると、農村で起業する数百万人のうち、インターネットなどの技術による起業は半分を占め、共同創業・協力創業は9割近くに迫った。彼らにけん引され、中国農村の起業は単なる耕作・飼育から特色ある耕作・飼育、スマート農業、教育・科学技術普及、電子商取引(EC)などに広がっている。

 「以前は家族から、ちゃんと勉強しないと、畑作りしかできないよと言われたものだが、今はむしろ誇らしいことだと思うようになった」と、洪さんは笑いながら語った。(c)Xinhua News/AFPBB News