【5月29日 AFP】アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相の後継者として昨年、与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首に選ばれたアンネグレート・クランプカレンバウアー(Annegret Kramp-Karrenbauer)氏(56)は28日、選挙をめぐっては言論の自由を制限すべきだと主張しているとも受け止められる発言をしたことに厳しい批判を浴びた。

 26日に投票が終了した欧州議会(European Parliament)選挙では、クランプカレンバウアー氏のCDUとその連立相手で中道左派の社会民主党(SPD)が大幅に議席を減らした。これを受けてクランプカレンバウアー氏は、選挙の期間にオンラインメディアに対する「規則」を設けることが必要だと述べた。

 
 クランプカレンバウアー氏は27日、欧州議会選での敗北に言及した際、もし新聞編集者70人が結束して選挙前に特定の政党をボイコットするよう求めるようなことがあれば、それは「明らかにプロパガンダ(宣伝活動)」とみなされるとした上で、オンラインメディアのインフルエンサー(影響力のある人)たちを抑制する必要があると訴えた。

 ドイツで「AKK」とも呼ばれているクランプカレンバウアー氏は「アナログの世界の規則はどういったものか、そしてデジタル領域にはどういった規則が適用されるべきか」が問題だと指摘し、「私はこの議論には非常に強い姿勢で取り組んでいく」と述べた。

 この発言に動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」では、政府に反発する若者層が一層怒りを強めた。欧州議会選が近づく中CDUは、地球温暖化を食い止めるために適切な行動を取らなかったとして、同党に投票しないよう有権者に呼び掛ける70人の著名ユーチューバーによって守勢に立たされていた。

 ドイツのツイッター(Twitter)はクランプカレンバウアー氏の発言で直ちに炎上。ハッシュタグ「#AKKRuecktritt(AKK辞任)」、「#annegate(アンネゲート)」、そして「#AKKgate(AKKゲート)」のハッシュタグがトレンドの上位3位を占めた。(c)AFP/Ryland JAMES