【5月29日 AFP】先週末にかけて行われた欧州議会(European Parliament)選挙の結果を受け、長年続いてきた同盟関係が揺さぶられる中、欧州主要国の首脳らは28日、欧州連合(EU)の最高機関である欧州委員会(European Commission)の次期委員長人事をめぐり対立する見通しだ。

 EU加盟28か国の首脳らは、現職のジャンクロード・ユンケル(Jean-Claude Juncker)委員長の後任をめぐる争いと駆け引きを開始。EUの大国同士であるフランスとドイツは同人事をめぐり対立しているが、両国の首脳は28日に開かれるEU首脳会談夕食会の目的は人物批評ではなく、今後5年間で優先すべき政策を決定することにあると強調した。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相は会場に到着時、自らと同じ党に所属するドイツ人のマンフレート・ウェーバー(Manfred Weber)氏を「当然」支持すると表明した。

 ウェーバー氏は中道右派の欧州人民党(EPP)が選出した候補者。EPPは欧州議会選で約40議席を失ったものの、最大政党の座を維持している。ウェーバー氏については求心力に欠けるとの見方があるほか、行政トップの経験もなく、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領の反対を受けている。

 マクロン氏は会場に到着した際、次期委員長候補者の名前は出したくないと述べながらも、適任の人物として中道左派のフランス・ティメルマンス(Frans Timmermans)氏、英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)でEU側の交渉を担当するミシェル・バルニエ(Michel Barnier)氏、マルグレーテ・ベステアー(Margrethe Vestager)欧州委員(競争政策担当)の名前を挙げ、ウェーバー氏の名前は出さなかった。(c)AFP/Damon WAKE