【5月26日 AFP】米国の「戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー、Memorial Day)」前の週末にあたる25日、毎年恒例のバイク大行進「ローリング・サンダー(Rolling Thunder)」が開催され、数千人規模のバイカーが首都ワシントンに集結した。主催者発表によれば、全米規模でのローリング・サンダーは今回が最後になるという。

 ローリング・サンダーは、ワシントンをバイクで大行進して戦地で行方不明になった米兵に敬意を表すイベント。毎年5月のメモリアルデー前に行われる。ベトナム戦争(Vietnam War)中に米軍が北ベトナムで行った大規模な空爆作戦と同じ名前を持つ同イベントの参加者は、多くがベトナム戦争に従軍した経験を持つ退役軍人だ。

 初回となる1988年のイベントでは「決して忘れない」というスローガンの下、ベトナムで行方不明となった米兵らの消息調査を求めて、オートバイに乗った3000人弱が参加した。

 年を経るに連れ、ローリング・サンダーはバイクのパレードと抗議行動を合体させたイベントに発展し、参加バイカーも数万人規模に増加。見物客がパレードコースの米国防総省から国立公園ナショナル・モール(National Mall)までの通り沿いを埋め尽くすようになった。最終目的地のベトナム戦争戦没者慰霊碑(Vietnam Veterans Memorial)やリンカーン記念堂(Lincoln Memorial)近くでは、スピーチやコンサートが行われる。

 しかし主催者は、全米規模での集会は今年を最後にすると発表。行進計画や高額な費用をめぐって、国防総省からの協力が困難になったためだという。今後は各地域での行進イベントを通じて啓発活動を続けていくという。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は日本を公式訪問中ながら、「偉大な愛国者である彼らや、その行動を私はよく知っている。私にできるならば援助する!」と、ローリング・サンダーを支援する意志を示した。

 11月11日の「退役軍人の日(Veterans Day)」が全ての退役軍人をたたえる日であるのに対し、5月最終月曜のメモリアルデーは、特に従軍中に戦死したり、捕虜となったり、行方不明となったりした米兵に思いをはせる日となっている。

 米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)によると、第2次世界大戦(World War II)以降の戦争で、現在も行方が判明していない米兵は8万2000人以上になる。(c)AFP