【5月25日 AFP】今季の登山シーズンに多くの犠牲者が出ている世界最高峰エベレスト(Mount Everest)で、新たにアイルランド人と英国人の登山者が死亡し、今シーズンの死者数は計10人となった。登山会社が25日、発表した。

 英国人のロビン・フィッシャー(Robin Fisher)さん(44)は25日朝、登頂に成功したものの、斜面をわずか150メートル下ったところで力尽きた。

 登山会社はAFPに対し、「わが社のガイドが助けようとしたが、それから間もなくしてフィッシャーさんは亡くなった」と述べた。

 さらに、別の登山会社も24日朝、チベット側でアイルランド人の男性(56)1人が死亡したことをフェイスブック(Facebook)で認めた。この男性は、登頂を断念し引き返すことに決めたものの、標高7000メートルのノース・コル(North Col)に張ったテントの中で死亡したという。

 山頂が悪天候に見舞われるようになるまで、あと2、3日あることから、犠牲者数はここ数年で最悪規模となる可能性もある。

 エベレストでは今季の短い登山シーズン中にインド人4人、米国人、オーストリア人、ネパール人それぞれ1人が死亡し、さらにアイルランド人の登山者が山頂付近で滑落して行方不明となり、生存が絶望視されている。

 標高8000メートル以上の通称「死のゾーン」が登山者で混雑していることが原因で少なくとも4人が命を落としたとみられ、安全より利益が優先されているとの懸念が高まっている。(c)AFP