【5月25日 AFP】男子テニス、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、今年の全仏オープンテニス(French Open 2019)で優勝すれば、これまで男子シングルスでは2人しか成し遂げていない通算2度目の四大大会(グランドスラム)4連勝を記録することになる。

 しかしながら、その道のりには、全仏に戻ってきたロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)と全盛期の強さを取り戻したラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が立ちはだかるとみられる。

 2016年にローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)を制して最初のグランドスラム4連勝を達成したジョコビッチは、昨年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)と全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)でタイトルを獲得したのに続き、今年1月の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2019)でも戴冠し、2度目の「ジョコスラム」を虎視眈々(たんたん)と狙っている。

 グランドスラムの通算勝利数では、20勝のフェデラーと17勝のナダルが15勝のジョコビッチを上回っているが、フェデラーとナダルは、これまでテニスのメジャー大会で4連勝を記録したことは一度もない。

 過去に男子でグランドスラム4連勝の偉業を達成しているのは、1938年のドン・バッジ(Don Budge)氏と1962年と69年のロッド・レーバー(Rod Laver)氏のみで、いずれの記録も年間グランドスラムとなっている。

 22日に32歳になったジョコビッチは、快挙達成の可能性についてはそれほどこだわる様子を見せていない。前週のイタリア国際(Internazionali BNL d'Italia 2019)決勝でナダルに敗れた際には、同選手がローラン・ギャロスでキャリア12度目の優勝を果たすのは間違いないという認識を示し、「ナダル、彼が間違いなく大本命。そのあとに他の選手が続く」と話していた。

 その一方で、1度目のグランドスラム4連勝を記録した2016年の全仏オープン優勝が、さらなる歴史的快挙を目指す原動力になっていることも認め、「ローラン・ギャロスを制することは、さらなるモチベーションと刺激になっている。なぜなら、3年前に成し遂げたように、グランドスラム4連勝のチャンスがあるからだ。それにあの時の勝利が、自分にはもう一度できるという十分な自信を与えてくれている」と語った。

 ジョコビッチの初戦の相手は、世界43位のホベルト・ホルカシュ(Hubert Hurkacz、ポーランド)となっている。

 一方、フェデラーはこれまでウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)に集中するためにクレーコート大会を回避しており、ローラン・ギャロスでプレーするのは2015年大会以来となる。

 全仏オープンで唯一のタイトルを獲得してから10年が経過している37歳のフェデラーは、こうした不利な状況を覆して2019年大会を制すれば、グランドスラムで最年長優勝の快挙を達成することになる。

 しかしながら、ナダルとジョコビッチを撃破する可能性がわずかであることを認め、「今はプレーが好調だと感じているけれど、ここぞという時に絶対王者たちに十分立ち向かえるだろうか? 自分のラケットには、そこまで確信はない」と話した。

 フェデラーは26日の1回戦で世界ランク73位のロレンツォ・ソネゴ(Lorenzo Sonego、イタリア)と対戦し、ナダルとは準決勝で激突するとみられる。

 全仏オープンで史上最多の11勝を誇り、大会通算成績を86勝2敗としているナダルは、前週のイタリア国際で通算9度目の優勝を飾り、通算34回目のマスターズ1000(ATP Masters 1000)制覇を遂げた。

 1回戦の相手が世界ランク184位でグランドスラムでは1勝もしたことがないヤニック・ハンフマン(Yannick Hanfmann、ドイツ)に決まったナダルは、「自分が優勝候補かどうかは気にしていない」とすると、「意識しているのは、気分とプレーが良好であることだ」と語った。(c)AFP/Dave JAMES