【5月25日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に対して「統治能力がなく、政治的に無能」などの批判を繰り返していた米ユタ州の判事が今週、6か月間の停職処分を受けた。

 ユタ州最高裁は19ページにわたる意見書の中で、マイケル・クワン(Michael Kwan)判事の言動は、裁判官としての行動規範に反しており、司法制度の信用を傷つけていると指摘。

 さらにクワン氏のフェイスブック(Facebook)とリンクトイン(LinkedIn)でのトランプ氏に関する投稿には、「無遠慮で、時にはきわどい批判があふれていた」と述べた。

 クワン氏はトランプ氏が大統領に就任した2017年1月20日、「自分の意見に固執し、向こう4年間、世界中でわが国の評判と地位をおとしめるつもりか?…統治能力のなさと政治的無能さを示し続けるつもりか?」と投稿していた。

 裁判所によると、クワン氏は判事として審理を行っている際に被告とのやり取りの中で、トランプ氏の移民政策と税制政策を批判したとされる。

 被告が、税金の還付があれば罰金を全額支払うつもりだったと陳述すると、クワン氏は「大統領が代わって、還付金なんて手にできるとでも思っているんですか?」と異議を唱えた。

「彼(トランプ氏)は(対メキシコ国境の)壁建設に着手するよう大統領令に署名したばかりだが、その資金はない。だから、あなたが今年、還付金がもらえると思っているなら、えーと…多分、無理でしょうね。でも心配いりません。富裕層には減税措置があるので、あなたの年収が50万ドル(約5500万円)を超えていれば減税を受けられます」と述べたという。

 クワン氏は、ユタ州テイラーズビル(Taylorsville)で判事を20年間務めてきた。これまでにも政治絡みの発言に関係した不品行や、かんしゃくを起こすなどの振る舞いで知られており、自身の発言が判事として不適切だったことを認める一方で、法廷内での政治的な発言は場を和ませようとしたもので、停職処分は言論の自由の侵害に当たると主張している。(c)AFP