【5月25日 AFP】ケニアの高等法院は24日、同性間の性交渉を違法とする刑法の規定の廃止を求めてLGBT(性的少数者)活動家らが起こしていた訴えを退けた。人権団体や国連(UN)は同国における平等を大きく後退させると批判している。

 同性愛者の人権擁護団体は、インドや台湾のように同性愛に対する法的規制を緩和する世界的な傾向に追随することを願っていた。アフリカの3つの国でも最近、反同性愛法が撤廃されていた。

 ケニアの刑法は、「自然の秩序に反する……性行為をした者」に最高で14年の禁錮刑を、男性間のみだらな行為をした者に最高で5年の禁錮刑を科すと定めている。これらの条項は古く、実際に適用されることはまれだが、活動家らはこれら2つの規定はプライバシーと尊厳を損うものであり、差別を助長し、医療や司法へのアクセスを阻害するものだとして廃止を求めていた。

 しかし、申し立てから3年を経て高等法院は、キリスト教が主流のケニアにおける文化と家族に関する価値観が損なわれるとの懸念を重視し、同性愛を違法とする法律は違憲ではないと判断した。

 裁判長は、法廷に提出された証拠は「LGBTQ(性的少数者)の人々が生まれながらにそうであるとする決定的な科学的証明」を提示しなかったと述べた。またこの種の法律を撤廃する世界の潮流は説得力のあるものではあるが、本法廷を拘束するものではないと指摘した。

 満席となった傍聴席では、長い判決文が読み上げられる間、同性カップルらが手をつなぎ、レインボーフラッグを振った。一方で、最前列には1人の司教が聖書を手に座っていた。判決が下ると同性カップルらは抱き合って涙を拭い、レインボーフラッグに身を包む人々もいた。

 ミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)国連人権高等弁務官は声明で「人格と誰を愛するかに基づいて特定の個人を狙い、その行動を違法とすることは、本質的に差別的だ。また、より広範な社会に危険なメッセージを送り、LGBTの人々に対する敵意や暴力さえも促すものだ」と述べ、LGBTを擁護する活動家らに平等のために闘い続けるよう呼び掛けた。(c)AFP/Nick Perry, Fran Blandy