【5月25日 AFP】サッカー女子W杯フランス大会(FIFA Women's World Cup 2019)に出場する中国代表チームは、練習のピッチを教室にかえて、政治的知識を増やして共産主義の母国への忠誠心を強めた。

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 来月開幕するW杯のライバルチームが同様の手順を踏むことはあり得ない中、中国女子代表の選手全員が「愛国心」を喚起する一連の講義を受けた。

 この講義が来月8日に行われる大会初戦で欧州の強豪ドイツを倒すことに役立つかは議論の余地があるものの、チームの主将を務める呉海燕(Haiyan Wu、ウー・ハイイエン)は、「母国のためにプレーする私たちにとって、愛国教育は大きな意義がある」と語った。

 W杯で世界最強のチームと戦う上で、今回のレクチャーは完璧な準備になると中国サッカー協会(CFA)がたたえる中、首都北京で行われた授業では、北京師範大学(Beijing Normal University)の教授が選手やコーチ陣全員に長々と講義を行った。

 選手たちは、CFAいわく「チームが市民としての基本的権利と義務を明確に認識し、道徳、法律、そして政治レベルにおける愛国的基準への理解を深めることにつながる」という中国の憲法と法律を勉強。ひざの上にノートを載せた様子や、教室の前方に置かれたプロジェクタースクリーンの横に飾られた巨大な中国旗の前でポーズをとる様子が写真に収められた。

 試合の運営方法に関して国内のサッカーファンから批判されることも多いCFAは、「選手の心に深い影響を残す行為」であるとして、タトゥーを禁止したことがあった。

 鋼鉄のバラ(Steel Roses、中国女子代表チームの愛称)が、W杯で大きなインパクトを残すためには、大番狂わせを演じる必要がある。現在世界ランク16位につける中国は、W杯のグループBでスペイン、南アフリカ、そして2度の優勝を誇るドイツと対戦する。

 中国女子チームのW杯での最高成績は1999年の準優勝で、このときは開催国米国との決勝でPK戦の末に惜しくも敗れた。

 フランス女子1部リーグのパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)でプレーする王霜(Shuang Wang、ワン・シュアン)を中心とする中国は、サッカーファンとして大きな野望を抱いている習近平(Xi Jinping)国家主席の期待を背負っている。

 習国家主席は人口約14億を誇る中国でのW杯開催と同大会制覇を目指している。しかし、男子チームがW杯に出場したのは2002年の日韓大会のみで、勝ち点も得点も奪えないまま早期敗退を喫した。(c)AFP