【5月27日 AFP】新たな手口の小児性犯罪が東南アジアで拡大している。小児性愛者らは、ライブ配信サイトやウェブカメラで提供される虐待を視聴し、支払いはほぼ追跡不可能な仮想通貨で行っていると、被害者団体や児童保護団体が警鐘を鳴らしている。

 貧困のまん延や緩い規制、抜け穴だらけの法制度によって、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、フィリピンは、未成年者との性交渉を求める外国や地元の小児性愛者が集う地となってきた。

 取り締まり強化や認識の高まりにより東南アジアを避けるようになった小児性愛者もいるが、ブロードバンドの普及や仮想通貨など技術の発達とともにこの地域における児童虐待の手口が変化し始めている。

 小児性愛者らは現在、ソーシャルネットワークや動画共有サイト、利用者の追跡が難しいいわゆる「ダークウェブ」など数々のツールを使って、子どもへのレイプや性的虐待を匿名で視聴できるようになった他、これらの運営自体も匿名で行うことが可能になったと専門家らは警告する。

 タイを拠点とする国際児童保護NGO「テールデゾム(Terre des Hommes)」のフランソワグザビエ・スーシェ(François Xavier Souchet)氏は、「小児性愛者らは閉鎖の可能性が低い大規模なプラットフォームでレイプ動画を見ている」と指摘する。「ライブ配信なので記録されることはなく、すべてが暗号化されている。取引の安全性をできる限り高めるため、支払いにはビットコイン(Bitcoin)を使っている」

■「死にたい、死にたい」

 国連(UN)の報告書によると、ウェブカメラによる子どもへの性的虐待に対する需要の高まりは人身売買の原因にもなっており、タイやフィリピンはそうした人身売買の拠点となっている。

 児童虐待の被害者であるフィリピン人のキャシーさんは、わずか12歳の時にウェブカメラの前で成人男性を相手に、あるいは自分一人で性的行為をするよう強要された。メイドとして働くため移住したマニラで、母親の雇用主に搾取されたという。苦しみは5年間続いた。「だまされ、裏切られたように感じ、孤独だった。『死にたい、苦しくて死にたい。でもできない』と考え続けていた」と話す。

 キャシーさんを虐待していた雇用主に2017年、懲役2年の実刑判決が下された。