【5月23日 AFP】米インターネット通販大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)の年次株主総会が22日に行われ、同社の顔認識技術を警察などの政府機関に提供することを禁止し、プライバシーや人権の侵害について調査するよう求める株主提案が否決された。

 ワシントン州シアトル(Seattle)を本拠地とするアマゾンは、クラウドサービス事業の一環として「レコグニション(Rekognition)」と呼ばれる顔認識技術を開発・販売しており、政府機関への提供禁止を求める提案には同社の取締役会が反対していた。

 株主提案によるとレコグニションは複数の警察機関で試験されているほか、移民税関捜査局(Immigration and Customs EnforcementICE)にも売り込みがかけられていると報じられており、移民の特定や監視に使われる恐れがあるという。

 提案を行った株主グループはアマゾンの取締役会に対し、顔認識技術に関する第三者機関の調査結果に基づいて取締役会が人権侵害を助長するものではないと結論付けない限り、政府機関への販売を禁止するよう求めていた。

 取締役会は株主提案に対し、「悪用の恐れがあるという理由によって新たな技術が禁止、または非難されるべきではない」「そうではなく、新技術を適切に利用し、継続的に向上させることを確かなものにするため、全当事者間で率直で真剣な対話が行われるべきだ」と反論していた。(c)AFP