【5月22日 AFP】今世紀末までに世界の海面が2メートル上昇し、2億人近くが家を失う可能性を指摘する新たな予測が20日、「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された。国連(UN)が基準としている予測の倍となる上昇幅だ。

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 グリーンランドや南極の広大な氷床には、世界の海面を数十メートル押し上げるのに十分な量の水が凍結している。海水の熱膨張は、海面上昇の一因だ。しかし地球温暖化に伴う氷床の融解ペースは、予測が難しいことで知られている。

 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が2013年に発表した第5次評価報告書(Fifth Assessment Report)では、従来の「RCP8.5」シナリオにより、現在の温室効果ガス排出ペースが続いた場合の海面上昇幅は2100年までに最大1メートルと予測していた。

 だがその後、温室効果ガスの排出量は年々増加し続けており、また衛星画像により南極とグリーンランドの大氷床の融解ペースの加速が明らかになったことで、国連の予測は控えめすぎだとみなされるようになっている。

 氷床に関する世界の主要な研究者らは今週この状況に対し、経験と観測に基づく専門的判断を発表。誤差の範囲は大きいものの「RCP8.5」シナリオの下では、海面上昇幅は2100年までに2メートルを超える可能性があるとするのが「妥当」との結論に至った。

 研究者らは海面上昇によって失われる陸地の面積について、フランスとドイツ、スペイン、英国を合わせた面積に相当し、1億8000万人以上が住む場所を追われると予想している。(c)AFP