【5月22日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権は21日、イラン情勢を懸念する議員らに対し、同政権は戦争を求めているわけではないと言明するとともに、米軍の断固たる行動によってイラン指導部への抑止力が働くとの考えを示した。両国間では数週間前から緊張が高まってきたが、その緩和に向けた動きとみられる。

 トランプ政権高官らは1か月にわたりイランに激しい警告を送ってきたが、議会では、政権は情報をごまかし、米国を戦争の瀬戸際に追いやっているとの批判が民主党から上がっている。

 この日はパトリック・シャナハン(Patrick Shanahan)国防長官代行とマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官が非公開で議会に対する説明を行った。

 シャナハン氏はその直後、記者団に対し「これは戦争ではなく、抑止が目的だ。戦争をするつもりはない」と発言。米国による空母打撃群やB52戦略爆撃機の派遣について、状況に対応するための措置だとし、これにより強力なメッセージを送ったと述べた。

 さらに同氏は「われわれは米軍に対する攻撃を抑止してきた」「現時点で最大の焦点は、イランの判断ミスを防ぐことだ。情勢のエスカレートは望んでいない」と語った。

 トランプ大統領は19日のツイッター(Twitter)投稿で、米国はイランを壊滅させられるとの見方を示した一方、20日の投稿では対話を呼び掛けており、これまでのメッセージの方向性はまちまち。

 トランプ氏は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長と歴史的な首脳会談を行う前にも同様のけん制をしてきた。しかし、イラン指導部は反米主義を1979年のイラン革命の基本理念としており、トランプ氏との会談に応じるとみる向きは少ない。(c)AFP/Shaun TANDON