【5月21日 時事通信社】オーストリアのクルツ政権を危機に陥れている極右・自由党の醜聞で、暴露された隠し撮り映像をめぐる臆測が飛び交っている。欧州議会選挙直前の暴露なだけに、自由党やメディアは政治的背景を探ろうとやっきだ。特に注目されているのが、イスラエル人の選挙コンサルタントが関与した可能性だ。

 映像には、自由党のシュトラッヘ前党首が前回総選挙直前の2017年7月、ロシアの財閥関係者と称する女性と飲酒しながら、選挙支援の見返りに便宜供与を示唆する様子が記録されている。シュトラッヘ氏は「酔った末のマッチョ的行動」として、女性への権力誇示だったと認めつつ、涙を浮かべ「政治的暗殺だ」と謀略を主張した。

 映像を公開したシュピーゲル誌などは、撮影者や女性の正体を公表していない。ただ、シュトラッヘ氏やクルツ首相は「タル・シルバースタインのやり口を思い出させる」としている。

 タル・シルバースタイン氏はイスラエル人の選挙コンサルタント。対抗候補をおとしめる手法が有名で、ティモシェンコ・元ウクライナ首相にも協力した。前回総選挙では左派陣営支援のため、クルツ氏のイメージを落とす狙いで過激な右派支持者を装ったフェイスブックアカウントを開設するなどの戦術を展開。今回の映像は、同じ時期に撮影されている。直後にシルバースタイン氏が一時拘束されたため、映像公表が今になったとの見方もある。

 ただ、同氏は独紙に、疑惑は「誤りで根拠がない」と否定している。(c)時事通信社