【5月22日 AFP】情勢が不安定な中国北西部の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で最近、大学入試に関する規定が変更され、父母のどちらかが漢民族の生徒に対する得点の上乗せ幅が大幅に引き上げられた。専門家らは主にイスラム教徒の少数民族の文化を排除しようとする当局の新たな取り組みとみている。

 暴力事件が相次いで発生した2014年以降、中国当局は新疆ウイグル自治区での取り締まりを強化。長いひげやスカーフ着用を禁止し、100万人に及ぶイスラム教徒の少数民族を収容施設で拘束するなど、過酷な措置を強要している。中国当局者は施設について、チュルク語を話す人々が中国語と仕事のスキルを学べる「職業訓練施設」で、宗教的過激思想に染まらないようにするのが狙いと説明。しかし人権団体などは、施設はウイグル人ら少数民族の文化や宗教的信念を、中国で大多数を占める漢民族の社会に強制的に同化させるのが目的と指摘している。

 専門家らは、新疆ウイグル自治区での大学入試規定の変更がこの方向に沿った動きだとみている。2015年の統計によると同自治区の人口2300万人のうち、およそ半数をウイグル人が占めている。

 同自治区当局は不利な立場にある生徒に全国の大学入試で得点を上乗せする既存の規定を変更。父か母が漢民族の生徒に対する上乗せ幅を20点と昨年から2倍に引き上げた一方、両親が少数民族の生徒に対する上乗せ幅を15点と昨年に比べ半分以下に引き下げた。

 豪ラ・トローブ大学(La Trobe University)教授で中国の民族関係・政策に詳しいジェームズ・レイボールド(James Leibold)氏はAFPの取材に対し、「新たな大学入試規定は漢民族と異なる思想や行動様式についていかなるものでもすべて漢民族化させる取り組みの一環」と説明。同教授によれば政府は「異なる民族間の結婚が、国家の統合促進とウイグル人ら少数民族の同化を促すのに重要な手段」と考えているという。(c)AFP/Eva XIAO