【6月12日 CNS】中国・広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)北海市(Beihai)潿洲島(Weizhou Island)には、強い日差しや凍えるように冷たい海水をものともせず、常に海に出て行く人々がいる。彼らは、人工育成したサンゴの苗を海の底に植え付けているのだ。

 先ごろ、記者はこのサンゴ育成チームと一緒に海に出た。1時間近く波に揺られた後、海中サンゴ育成地のある海域に到着。案内してくれた黄雯(Huang Wen)博士によると、海に出る際には必ず、GPSを使って育成地の位置を確認しなければならないという。波風が強い場合、往々にして場所を見失うからだ。

 2015年以降、このチームは毎年、潿洲島のサンゴ礁の生態について詳しく調査を行ってきた。調査の結果、潿洲島のサンゴ礁のサンゴの種類は11科22属41種あり、優占種はコブハマサンゴとハチノスサンゴの一種であることが分かった。生きたサンゴに覆われている割合は約6%しかなく、過去の調査データに比べてはるかに低い値だった。サンゴ礁の修復は現在、苗の育成段階から海域修復の段階へと進んでいるという。

 サンゴ礁は海洋生態系の中でも、生物多様性が最も高く、非常に重要な生態価値がある。サンゴ礁は周辺の住民に食料と娯楽場所を提供し、サンゴ礁区域内のサンゴや海綿、藻類などの生物は、海洋薬物資源として用いることもできる。サンゴ礁には、海岸の保護と海洋性気候の歴史的変化を記録する作用がある。

 地球温暖化と人類の活動により、過去約20年の間、サンゴ礁は減少し続けている。サンゴの育成者の仕事は、海中や陸上で人工的にサンゴの苗を育て、海中で植え付けを行うことにより、海洋生態を保護することだ。

 現地で漁業に従事する万明春(Wan Mingchun)さんは、子どもの頃に見たサンゴは大きな塊のコイボミドリイシだったが、この数年明らかに少なくなり、大きなものを見かけることはめったにないと話す。

 広西大学(Guangxi University)海洋学院は18年からサンゴの有性生殖実験を開始し、今年は3種のサンゴ幼生の着床に成功するなど、大きな進展をみた。広西で初めてサンゴの有性生殖技術を会得したことになり、サンゴ礁の生態保護と修復に確たる基礎を築いたとしている。(c)CNS/JCM/AFPBB News