【5月21日 AFP】2015年にポルトガルの首都リスボン郊外の沿岸部にある世界遺産都市シントラ(Sintra)で、警官8人がアフリカ人の若者6人を警察署内に拘束し暴行や侮辱を加えたとする事件で、裁判所は20日、警官らに有罪判決を言い渡した。

 2015年2月、警察は元ポルトガル領の島国カボベルデからの移民が多く住むシントラ市内の地区で、若い男性1人を逮捕した。これに対し他の若者5人が警察署に抗議したが、警察は5人の身柄も拘束。男性らは当時23歳から25歳だった。

 裁判所は、警官らが若者らを「不当に」逮捕し、彼らがあたかも警察署に侵入したように見せかけようとしたことは「深刻な職権乱用」に当たるとの判断を下した。

 判決では警官1人に1年6月の禁錮刑が、残りの警官7人にはそれぞれ2月~5年の執行猶予が言い渡された。またエステル・パチェコ(Ester Pacheco)判事によると、拷問と人種差別的な動機を持っていた疑いで起訴されていたその他9人に対しては無罪判決が言い渡された。

 地元メディアによれば、同国で起きた同種の事件でこれほど多くの警官が一度に有罪になった事例は初めてだという。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)ポルトガル事務局のペドロ・ネト(Pedro Neto)局長は「この事例は、治安当局が独立した外部組織の管理を必要としていることを強調している」と述べた。(c)AFP