■ミルクの二の舞いは演じない

 米国の肉牛生産者らは、乳製品生産者らの二の舞いを演じないよう動き出している。乳製品業界は、アーモンドやココナツなど乳製品を使っていないのに「ミルク」の呼称を使用しているベジタリアン向け商品の台頭に直面している。

 米国肉牛生産者協会(USCA)は、「肉(ミート)」という単語は従来の方法で繁殖・飼育・解体された動物由来の肉に限定して使用すべきだと主張しており、「細胞培養技術使用食品」や「代替タンパク質」といった呼称を使用するよう推奨している。

 一方、全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)は、細胞培養製品の正確な組成がまだ不明だとして、見解を示しかねている。ただ、あるNCBA幹部は、「クリーンミート」のように従来の食肉を「汚い」ものだと示唆し、その評判を傷つけるような含みがある、科学的事実に基づかない呼称は支持しないと述べている。

■各国の現状

 肉の代替食品をめぐる議論は、政治の世界にも広がっている。米ミズーリ州は昨年、全米50州で初めて、肉とは動物由来の製品であると公式に定義した。同様の法案が現在、全米で審議されている。

 フランス下院では、植物を主原料としながらも「ステーキ」や「ベーコン」、「ソーセージ」といった呼称を使っている製品を対象とした修正法案を可決。上院でいったんは否決されたものの再び審議が行われている。

 ドイツでは「代替肉」や「模造肉」といった言葉が広まっているが、食料・農業省は昨年、該当製品のパッケージに「ベジタリアン」または「ビーガン」と明記し、使用されている代替原料を表示するよう勧告した。(c)AFP/Juliette Michel with Nicolas Gubert in Paris