【5月29日 AFP】推進派は肉の代替食品を「スローターフリー(食肉解体をしていない肉)」や「クリーンミート」などと呼んでいるが、従来の食肉業界の人々は、そのような呼び名はただの「フェイク」だと考えている。

 一つだけ確かなことは、植物性にせよ動物の細胞を原料にしたものにせよ、新たな食肉の代替食品をどう呼ぶべきかという論争は、決着からは程遠いという点だ。

 ペトリ皿で幹細胞から培養した肉の代替食品を使ったハンバーガー「フランケンバーガー」が話題になったのは2013年だった。当時は「ラボミート」「人工肉」「培養肉」といった言葉が使われた。後に「クリーンミート」という言葉が登場し、最近になって「細胞肉(純肉)」という呼び名が使われるようになった。

■ステーキというよりは「筋繊維の塊」

 消費者の食欲を刺激するには、どういう呼び名が最適か。動物性食品の代替製品を推進する「グッド・フード・インスティテュート(Good Food Institute)」は昨年9月、さまざまな呼び名について考察した37ページにわたる報告書を発表した。

 米国では新たな食品が市場に出回る際は、農務省(USDA)が呼び方を決める。業界最先端のスタートアップ企業によると、食肉の代替製品は早ければ2021年にも店頭に並ぶ予定だ。

 一方、フランス国立農学研究所(INRA)の研究員、ジャンフランソワ・オケット(Jean-Francois Hoquette)氏は、幹細胞から作られている肉の代替食品について、現時点ではむしろ「筋繊維の塊」であり、サーロインステーキやローストチキン、ポークチョップには程遠いと語った。