【5月20日 AFP】ロシア軍は19日、シリア政府軍が同国でイスラム過激派勢力の拠点となっている北西部イドリブ(Idlib)県における攻撃を「一方的」に停戦したと発表した。

 アサド政権と同盟関係にあるロシア軍のシリア調停センターは、「5月18日午前0時より、シリア政府軍はイドリブの緩衝地帯内で一方的に停戦した」と述べた。一方、「ハマ(Hama)県、ラタキア(Latakia)県、アレッポ(Aleppo)県内の政府軍拠点および民間人に対する攻撃は続いている」という。

 しかし、在英NGOのシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)は、イドリブでの戦闘は今も続いていると指摘している。同団体によると、シリア政府軍は19日も同県にある過激派勢力の複数の拠点に対し、砲撃やロケット弾による攻撃を仕掛け、民間人6人が死亡した。さらにロシア軍も19日午後、イドリブへの空爆を再開したと述べている。

 人口300万人が住むイドリブ県は、現在もシリア政府の統治外にある最大の地域で、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)傘下の組織を前身とする反体制派連合「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」の支配下にある。

 シリア政府を支持するロシアと反体制派を支持するトルコは昨年9月、イドリブ県の住民を保護する緩衝地帯を設けることで合意したが、4月後半以降、この地域に対するシリア軍とロシア軍の爆撃は激化している。こうした事態を受けて欧米諸国は、シリア軍が合意を無視してイドリブに本格的な攻撃を開始する可能性を懸念している。(c)AFP