【5月20日 AFP】欧州議会(European Parliament)選挙を今週末に控えた19日、議席数の拡大を狙う国家主義政党や極右政党に抗議するデモがドイツ各地の都市で行われ、数万人が参加した。

 最新の世論調査によると欧州議会選では、イタリアの「同盟(League)」、ドイツの「ドイツのための選択肢(AfD)」、フランスのマリーヌ・ルペン(Marie Le Pen)氏率いる「国民連合(RN)」などの極右政党が支持を集めることが予想されている。

 フランクフルトやベルリンなど複数の都市で行われた抗議デモには、「反国家主義」を掲げる250以上の団体が集まった。

 参加した74歳の女性は、全体主義を掲げたナチス・ドイツ(Nazi)に言及し、「デモに参加したのは、私が生きている時代に国家社会主義政党が行ったことを、再び体験したくないからだ。もう二度とあのようなことが起こってはならない」と述べた。

 ベルリンのデモの参加者は、主催者発表で2万人、警察発表で数千人とされている。一方、フランクフルトは警察発表で1万4000人となっている。その他、ハンブルク(Hamburg)、ケルン(Cologne)、ミュンヘン(Munich)でも抗議デモが行われた。

■欧州議会周辺の右派の動き

 またオーストリアの首都ウィーンでも、数千人規模のデモが行われた。現在、右派連立政権が率いる同国では、極右政党・自由党(FPOe)の党首で副首相を務めていたハインツクリスティアン・シュトラッヘ(Heinz-Christian Strache)氏が、選挙支援の見返りに便宜供与を約束した隠し撮り映像が明るみに出て辞任したばかり。デモ隊は議会の解散と総選挙の実施を要求した。

 イタリアでは18日、ポピュリストの指導者であるマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)副首相兼内相の呼び掛けで欧州各地のさまざまな国家主義者が結集し、集会を開いたが、このオーストリア右派連立政権のスキャンダルで影が薄れた格好だ。

 しかし、反移民を掲げる伊「同盟」のサルビーニ氏や仏「国民連合」のルペン氏らは、参加する欧州議会内の反EU会派「国家と自由の欧州(ENF)」が第3の会派として躍進することを狙っている。

 また国家主義政党が率いているハンガリー、ポーランド、チェコの各政府は反移民政策を打ち出しており、その強硬政策と反欧州連合(EU)を掲げる姿勢をめぐり、EU本部としばしば衝突している。

 ドイツでデモに参加した27歳の男性は、「ハンガリー、ポーランド、チェコの政府がこれまでにしたことと、今後ドイツで起こり得ることについて警告を発するためにここに来た。とても危険だ」と述べた。(c)AFP