【5月18日 AFP】中国の習近平(Xi Jinping)国家主席が、2014年にインドを訪問した際、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(83)と面会することに同意していたものの、「慎重な」インド政府が面会の実現を認めなかったと主張する新刊書の抄録が15日、公開された。

 ダライ・ラマは、1959年に中国・チベット自治区の区都ラサ(Lhasa)からインドへ逃れて以来同国に拠点を置いており、中国政府側にとっていら立ちの種となってきた。

 インドの民放NDTVのニュース番組で編集ディレクターを務めるソニア・シン(Sonia Singh)氏は、20日に発売される自著「Defining India: Through Their Eyes」で、当時のダライ・ラマの発言として、「2014年、中国の習近平国家主席がナレンドラ・モディ(Narendra Modi)印首相との会談のためデリー(Delhi)を訪問した際、習氏との面会を求めた」と指摘。「習国家主席は同意したが、インド政府は面会に慎重で、実現しなかった」という。

 同書の中でシン氏は、モディ政権が中国との良好な関係の維持を気にしていたとしている。

 ダライ・ラマの広報担当を務めるテンジン・タクラ(Tenzin Taklha)氏はAFPに対し、いかなるコメントもないとし、同書の内容について否定も肯定もしなかった。

 インドは1959年にダライ・ラマの亡命を認めて支援してきたものの、同国政府はここのところ外交上敏感な問題として、ダライ・ラマとの距離を置く姿勢を見せている。

 シン氏は両者の面会が実現していたならば、「中国とチベットの関係の前途を変える可能性があった」と指摘している。(c)AFP