【5月18日 AFP】欧州で電動キックスケーターの人気が高まっている中、ドイツで17日、歩行者の安全のため電動キックスケーターの歩道での運転を原則禁止し、車道か自転車専用道のみでの利用に制限することが決まった。

 道路上の安全や交通への影響をめぐり激論が繰り広げられた末、独連邦参議院(上院)はアンドレアス・ショイアー(Andreas Scheuer)運輸・デジタルインフラ相の提案を承認し、電動キックスケーターの車道利用が認められることになった。

 ショイアー運輸相は当初、電動キックスケーターの歩道での利用を認めると提案していたが、政治家や警察労組、保険団体などから批判が殺到したため方針を変更。歩道での利用は、電動キックスケーター通行可と明示する標識がある場所でのみ認められることになった。また電動キックスケーターの運転者は14歳以上、制限速度は時速20キロと定められた。

 独IT業界団体「BITKOM」のアヒム・ベルク(Achim Berg)代表は、「ドイツでは、電動キックスケーターをめぐり意見が分かれている。新しい技術がこれほど強い人気を誇り、これほど強く拒絶されることは異例だ」と述べた。

 ドイツでは、自転車利用者の団体などが自転車専用道の一層の整備推進を以前から要求してきた。電動キックスケーターが入ってくることで、道路上のスペースをめぐる対立が激化する恐れもある。

 独日刊紙メルキッシェ・オーデルツァイトゥング(Maerkische Oderzeitung)は、ドイツには二つの選択肢があるとしている。一つ目は「混乱、あるいは複数の移動手段の間での戦争が起きる危険を冒す」こと。二つ目は、都心部で自転車や電動キックスケーター、歩行者を優遇し、ドライバーたちの場所を奪うことだという。(c)AFP/Ryland JAMES