【5月17日 AFP】フランス南部カンヌ(Canne)で開催中の世界最大の映画祭、カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で初となる託児所が設置された。

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 ヨットが浮かぶ港を見渡せる一角にある託児所は、過酷な仕事と子育ての両立に苦労する映画業界で働く3人の母親のアイデアから生まれた。色鮮やかなカーペットが敷かれた明るく風通しの良い託児所では、「子どもたちがVIPだ」。

 託児所の「赤い風船(The Red Balloon)」という名前は、1956年にカンヌ映画祭で短編グランプリを受賞した仏映画にちなんでいる。

 これまでは乳幼児がいる人たちに対する配慮はほとんどなく、セレブでにぎわうきらびやかな映画祭で子どもの姿を見るのはまれだった。

 昨年のサンダンス映画祭(Sundance Film Festival)で、「遊び部屋とお昼寝部屋」を設置した米国を拠点とする「マムズ・イン・フィルム(Moms-in-Film)」は、カンヌ映画祭は子ども用の施設がないと批判していた。

 米ロサンゼルスから今年初めてカンヌ映画祭に参加したゲイル・グリーブズ(Gail Greaves)さんは、映画祭の期間中は2歳の娘の世話をする人を雇う予定だったと言う。だが、個人で12日間もベビーシッターを雇うと高額になる。グリーブズさんはオンラインで赤い風船を見つけ、即座に予約した。

 カンヌ映画祭の正式入場許可を持っている人は特別パスがもらえ、1日当たり50ユーロ(約6100円)で午前10時から午後6時まで自分の子どものために託児所を利用できる。

■女性が力を合わせて実現

 赤い風船を立ち上げた3人の女性は仕事と生活のバランスについて情報交換するうちに、数か月前にこのアイデアを思い付き、共同で「映画祭で子育てする会(Parenting at Film Festivals)」を設立した。

 その一人、オーストラリア人のミッシェル・キャリー(Michelle Carey)さんは「映画祭で子育てをすることがどれほど難しいか情報交換していただけだった」と語る。

 キャリーさんは昨年の映画祭では、息子の授乳のために会場から約20分離れたホテルの部屋に急いで戻らなければいけなかった。大変で現実的ではないと感じたという。

 だが、自分一人ではなかった。

 託児所は「出産後に職場復帰する若い母親には特に役立つ」とキャリーさんは強調する。

 キャリーさんによると、託児所に登録している親は今のところ50人で、17人の子どもの予約が入っている。親の一人は映画祭の審査員だという。

 託児所の設備費用は映画見本市の資金で、託児費用は12以上の企業や団体からの寄付とクラウドファンディングで集められた資金で賄われている。

 カンヌ映画祭は昨年、男女平等を目指すことを約束したが、映画業界での男女同権を推進する「5050x2020」の支援もあり、今年のカンヌ映画祭での託児所の設置が実現した。(c)AFP/Hazel WARD