【5月17日 AFP】米当局者は16日、米国が中東で軍備を増強する引き金となったイランの「脅威」の一つとして、ペルシャ湾(Persian Gulf)でイランのミサイルを運ぶ「民間のボート」が複数確認されたことがあると述べた。匿名を条件に語った。

 ペルシャ湾は、世界の航路の中でも戦略的な重要性が特に高い。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)によると、米情報機関は航空写真により、古いボートが同湾でイランのミサイルを運ぶ様子を複数確認。これを受け、米政府は中東での軍備を増強した。前出の当局者は、この報道を事実と認めた。

 同紙によれば、ミサイルは完全に組み立てが済んだ状態で、イラン革命防衛隊(IRGC)によってボートに積まれていた。米国は先月、IRGCを「外国テロ組織」に指定したばかり。

 この当局者はAFPに対し、「軍と情報機関が懸念しているのは、(運搬の)意図だ」と述べた。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権はこの10日間、ペルシャ湾岸地域で米国の資産と同盟諸国にイランの脅威が及んでいるとし、これを回避するとの名目で同地域での軍備を増強。イランへの圧力を強めてきた。だが米国は、実際に脅威が存在する証拠を示していない。

 イランのマジド・タフテ・ラバンチ(Majid Takht-Ravanchi)国連(UN)大使は米公共ラジオNPRとのインタビューで、ミサイル運搬を否定しない一方、「わが国は独自に備えをしなければならない」と主張した。

 同大使は「私はイランの軍事的な備えについて話す立場にない」とした上で、「こうした疑惑はすべて、紛争のようなもの、あるいは戦争のようなものに備えるためにイランに向けられた、偽りの疑惑の一部だ」と述べた。(c)AFP