――「オンナはやっぱりオープンカーよね、座談会」ということで、飯田裕子さん、佐藤久実さん、吉田由美さんというオープンカー好きの女性ジャーナリストにお集まりいただきました。3人ともオープンカーのオーナーでしたから、まずはそれぞれのオープンカー・ライフから伺いたいと思います。

オープンカー・デビューのはなし

(佐藤)最初に買ったオープンカーはメルセデス・ベンツE320カブリオレ(A124型)。それからCLK320カブリオレ、ジャガーXKコンバーチブルと、オープンカーは3台乗りました。購入動機はすべて一目惚れ。屋根はほとんど開けないんだけど、たとえば春は、桜の名所なんかに行くと、オープンカーに乗ってて、本当に良かったと思う。開けた瞬間に世界がパッと変わる。ドライバーにとっては、ルーフが開いたからといって、前方視界が広がるわけじゃないのに、広がりを感じる。そこが面白い。ほとんど開けないからとクーペに乗り換えても、その瞬間の気持ち良さを思い出して、またオープンが欲しくなる。
(吉田)私は輸入車デビューがメルセデス・ベンツSLKだった。当時の自分には赤いクルマ、メルセデス・ベンツ、オープンカーという3つのキーワードがあって、バリオ・ルーフのSLKを見たとき、あ! これだ! と思った。でも、ソフトトップだったら買ってないと思う。イタズラされたりしたら嫌だから。私もほとんど開けなかったけど、開けられるというオプションがあるのは、いいなあと思ってました。

(飯田)私のオープンカー・デビューはBMW325iカブリオレ(E36型)。実用性の高いオープンカーとして選びました。サモア・ブルーのボディ、真っ直ぐなショルダー・ライン、幌を開けても使えるトランク、そしてBMWらしいスポーティな乗り味が素晴らしかった。母と弟二人を乗せて、地元の花火大会に行ったの。屋根を開けてみんなで花火を観たのが、楽しい思い出。みんなに“いいクルマ、買ったね”ってホメられた(笑)。そこからオープンカーの世界に魅了されていきました。ここのところは、ポルシェ・ボクスターを2台乗り継いでいます。
(佐藤)ボクスターって前のトランクに想像以上に荷物積めるんだよね。
(飯田)そうそう。意外と使える。

(吉田)私は裕子ちゃんと違って、あえて実用性を求めないために2座のSLKを買ったの。私、お酒飲まないからそれまで飲み会があるとアッシーさんだった。気が付くとお酒飲んだ友達が乗ってるみたいな。SLKの助手席に荷物を置いておくと、みんな"しょーがないね"なんて言って電車で帰る(笑)。
(佐藤)私もソフトトップ派なんだけど、実用性じゃない。閉めたときに幌とボディのカラー・コーディネートが楽しめるから。
(飯田)オープンカーって色の楽しみが大きいよね?
(佐藤)開ければ、ボディとインテリアのコーディネートが楽しめるしね。
(飯田)私がいま乗っているボクスターは黒ボディに赤い幌。開けると、赤い幌が着物の半襟みたいに黒いディに映える。
(吉田)艶っぽいね。

おすすめのオープンカーに試乗!

――では、今日乗った3台にテーマを移しましょう。3台はそれぞれが「旬なオープンカー」として挙げたものです。BMW M4カブリオレは飯田裕子さんチョイスです。

飯田裕子×BMW M4カブリオレ

メタルトップは3分割で収納され、開閉時間は20秒。18㎞/h以下であれば操作可能。屋根を閉じているときの荷室容量はクーペと同じ445ℓ。屋根を開けると、メタルトップが収納されスペースは半減する。インテリア・デザインは新型3シリーズより一世代前のもので、アナログの4連メーターとなる。艶消しの赤いボディ・カラー、目にも鮮やかなホワイト・レザー内装はBMWインディビジュアルのオプション。

(飯田)サーキットを走るようなガチガチのスポーツ・モデルをあえてオープンで乗る。その粋をわかっていただけますか? こういうのを本当に余裕があるというのだと思う。高い潜在能力を100%出すのではなく、能力があることを感じながらオープンで走るのがカッコイイ。ただ、閉めたときに荷室がすごく狭くなるハードトップはちょっと残念。自分が4座オープンを選ぶのは実用性と気持ち良さの両方を持っているからなので。
(佐藤)閉めたときのクーペの美しさというのはあるけどね。
(吉田)ハードトップは屋根の開け方、閉め方のギミックが面白い。畳まれ方とか、動作の順番とか、クルマによって全然違うし、アイディアが詰まっている。M4カブリオレもヘーって思った。ワンダーランド。
(佐藤)マニアックだね(笑)。M4カブリオレの魅力は一粒で2度美味しいということだと思う。クーペだったら、このパフォーマンスを心底味わわないと欲求不満になる。ハンドリングもいいから当然そこを味わいたい。でも屋根がパコッと開いた瞬間に“まあ、いっか”って思う。開ければゆっくり走っても楽しい。で、閉めれば、M3に近いパフォーマンスを味わえる。
(飯田)3リッター直6ツイン・ターボは、最高出力450ps、0- 100㎞/h4・3秒だからね。
(佐藤)開けたときのエンジン音もすごくて、開けるとガラッと世界が変わる。
(吉田)そういう意味でも2度美味しいクルマだと思った。

――では、続いてBMW i8ロードスター。これは佐藤久実さんです。

佐藤久実×BMW i8ロードスター

特徴的なCピラーを残しているため、リトラクタブル式トップを開けても開口部は広くない。トップはクーペにあった後席スペースに格納されるため、i8ロードスターは2座となる。ただし、ルーフ格納部の下には荷室がある(92ℓ)。開閉は電動式で50㎞/hまでなら操作可能。内装はクーペと同じだが、屋根を開けると少しカジュアルな雰囲気になるのは不思議。フル・カーボン・ボディの剛性感は、ロードスターでも非常に高い。

(佐藤)まず、あのデザインが旬。クーペもそうだけど、カーボンを使った量産車という革新的な成り立ちや、モーター+1・5リッター3気筒というパワートレインも旬です。M4カブリオレは開けるとすごい音で、それが魅力だったけれど、i8ロードスターは無音でスーッと加速する。そこも新しさを感じた。
(吉田)私も久しぶりに乗って新鮮だった。使い勝手を考えると跳ね上げ式ドアを開けるのに意外とスペースが必要だったりして、いろんな意味で余裕がある人でないと持てないなあ、とは思ったけれど、それをもってしてもワクワクするオーラがある。
(飯田)あらためて贅沢な2座オープンだと思った。ドアを開けるとカーボンが見えるというのもクルマ好きにはたまらないし、デザイン、クリーンな走り、ボディの美しさ、先進性などなど、クルマ好きが欲しいものが詰まっている。
(佐藤)開口部はそんなに広くないから、ロードスターになったネガがほとんどない。包まれ感がありながら風を感じることができる。
(吉田)空気の流し方がすごいよね。こんなとこ開いてていいの?って。蓋を忘れてませんか?(笑)
(佐藤)それでカッコイイというのがすごい。自分が選ぶクルマはエレガントなものが多いんだけど、i8ロードスターはオトコらしくて素敵。
(吉田)クーペのほうがフェミニンな感じがするよね。
(佐藤)そう。i8ロードスターは男気よ!
(飯田)さすが久実さん!

――では、アストン・マーティンDB11ヴォランテ。これは吉田由美さんのリストにあったものですが、飯田さんも佐藤さんも本当は一番好きなオープンカーだとか。

吉田由美×アストン・マーティンDB11ヴォランテ

華やかさと気品を備え、溜息が出るほど美しいインテリア。ソフトトップを開けるとまるでパーッと花が咲いたよ うなオーラを持つ。ソフトトップは電動式で50㎞/hまでなら操作可能。また、停車時にリモコン・キーで開閉す ることもできる。ソフトトップを採用したことで、オープン時とクローズ時でトランク容量に大差がないのも特徴 である。エンジンは4リッターV8ツインターボのみでクーペに搭載されるV12の設定はない。

(飯田&佐藤)そうなんですよ。旬というお題がないなら。
(飯田)美しいよねえ。
(佐藤)乗り味で言うと、有機的なところが好き。ガス・ペダルを踏んだときに微妙な間があって加速していくんだけど、それが人の感覚にすごく近い。ステアリングもドイツ車と全然違って、そんなにクイックじゃないけど、ちゃんとスポーツカーの仕立てになってる。人の感覚に近いリニアリティっていうのかな。ドイツ車ってカチッとした精密機械のような感じがいいんだけど、アストン・マーティンにはちょっとファジーなところがある。
(吉田)クーペよりヴォランテ?
(佐藤)そう。クーペはクーペでいいんだけどね(笑)。
(飯田)久実さんの言う通りで、操作に対する反応が鈍いというのではなくて、寛容さというかしなやかさがある。大人の余裕というような。そしてそれが上品なテイストになっている。レスポンスが正確というよりは上品。感性に訴えかけて来るようなドライブ・フィールなんだよね。
(吉田)余裕を感じる。オープンカーって精神的にも金銭的にも余裕がないと手が出ないと思うけれど、そのなかの頂点みたいなクルマ。これを持っていたら、それだけでアガる。乗っている人がステキだなって勝手に思われる強力なアイテムで、私も憧れのトップにある。
(飯田)i8はロードスターになってオトコっぽくなったけれど、DB11は屋根を開けると、グッと女性的になるよね。
(吉田)インテリアにふくよかさがある。開けるとそれが見えるから女性的に見えるのかな。
(佐藤)イギリスのスポーツカーって紳士的な感じなのに、どこかで野蛮になるじゃない? それがDB11ヴォランテにはないの。ずっと紳士。スノッブなクラス感があって、そこはi8ロードスターと全然違う。
(飯田)そうそう!
(佐藤)まあ、野蛮も嫌いじゃないんだけどね。
一同 爆笑。

見られる喜び

(飯田)それにしても純白のボディにパープル・レザーの内装というのは、たまりませんね。
――あの美しさを見せたいという気持ちがオーナーにはあるんだと思います。そもそもオープンカーって“私を見て!”という自己主張が強い人が選ぶものじゃないですか? 
(飯田)みなさん、そう言うんですけど、違います! 私は見られたくない。昼間の表参道を開けて走ろうなんて1ミリも思わない。
(佐藤)私も見られたくない。でも取材で走るときは開けるじゃないですか。そのときに注目されるのはわかる。となりにバスやトラックが来ると見下ろされて、恥ずかしい。
(吉田)油断できないよね。
(飯田)オープンカーに乗っていると自己主張したいタイプだって言われることが多いけど、そうじゃないし、単純に決めつけてもらいたくない!
(吉田)え? 裕子ちゃん、自己主張してるよね?
一同 大爆笑。
(飯田)オープンカーで?
(吉田)そうじゃなくて、存在自体。
一同 さらに大爆笑。
(吉田)ちゃんと言うことは言うっていう意味。
(飯田)それといまの話は違うでしょう? 繰り返しますが、私を見て! なんて思ってません。恥ずかしいけど、気持ち良さを知っているからオープンカーに乗っているんです。
(佐藤)まあでも、DB11ヴォランテはもちろんだけど、オープンカーは基本的に注目を浴びるよね。だから、自分というよりもクルマ選びや色のセンスで主張したい。
(吉田)見られることを強制的に意識させられて、オーナーを高めてくれる、あるいは育ててくれるというのがオープンカーだね。
(飯田)そう。だからオープンカー乗りが主張するのは、ライフスタイルなんです。
(吉田)DB11ヴォランテのあるライフスタイルに憧れちゃう。
(飯田&佐藤)だよねー。

話す人=飯田裕子+佐藤久実+吉田由美
まとめ=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

BMW M4カブリオレ・コンペティション

  • 駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
  • 全長×全幅×全高 4685×1870×1390㎜
  • ホイールベース 2810㎜
  • トレッド 前/後 1580/1605㎜
  • 車両重量 1880㎏
  • エンジン形式 直列6気筒DOHCターボ
  • 総排気量 2979cc
  • 最高出力 450ps/7000rpm
  • 最大トルク 56.1kgm/2350~5500rpm
  • 変速機 7段自動MT
  • サスペンション 前 ダブルジョイント・スプリング・ストラット/コイル
  • サスペンション 後 マルチリンク/コイル
  • ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
  • タイヤ 前 265/30R20 後 285/30R20
  • 車両本体価格 1383万円

BMW i8ロードスター

  • 駆動方式 4WD(前:電動機+後:横置き内燃機関)
  • 全長×全幅×全高 4690×1940×1290㎜
  • ホイールベース 2800㎜
  • トレッド 前/後 1645/1702㎜
  • 車両重量 1650㎏
  • エンジン形式 ACモーター+直列3気筒DOHC12Vターボ
  • 総排気量 1498cc
  • 最高出力 142.8ps+231ps
  • 最大トルク 25.5kgm+32.6kgm
  • 変速機 6段AT
  • サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
  • サスペンション 後 マルチリンク/コイル
  • ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
  • タイヤ 前 195/50ZR20 後 215/45ZR20
  • 車両本体価格 2234万円

アストン・マーティンDB11ヴォランテ

  • 駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動
  • 全長×全幅×全高 4750×1950×1300㎜
  • ホイールベース 2805㎜
  • トレッド 前/後 1657/1624㎜
  • 車両重量 1870㎏
  • エンジン形式 V型8気筒DOHCツインターボ
  • 総排気量 3982cc
  • 最高出力 510ps/6000rpm
  • 最大トルク 68.8kgm/2000~5000rpm
  • 変速機 8段AT
  • サスペンション 前 ダブルウィッシュボーン/コイル
  • サスペンション 後 マルチリンク/コイル
  • ブレーキ 前&後 通気冷却式ディスク
  • タイヤ 前 255/40ZR20 後 295/35ZR20
  • 車両本体価格 2423万2276円

【佐藤久実 動画レポートあり】新型RS4アヴァントはアウディ最強の万能ステーション・ワゴン!

【吉田由美 動画レポートあり】6.2リッターV8、トルキーなシボレー最新クーペ新型カマロ

【佐藤久実 動画レポートあり】復活を遂げた名車アルピーヌ、超軽量ボディで速さを実感!!