【5月15日 AFP】サウジアラビアは15日、同国の石油タンカー2隻と主要石油パイプラインの採油施設に対する攻撃について、世界への石油供給の安全を標的としたものだったとの見解を示した。

 イランが支援するイエメンのイスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装組織フーシ派(Huthi)が14日、サウジの主要石油パイプラインの一つにドローン(小型無人機)攻撃を行い、輸送停止を余儀なくされた。

 フーシ派はドローン攻撃の犯行声明を出し、4年以上にわたるイエメン紛争で暫定政権側を支持したサウジとその連合軍による「犯罪」への報復だと述べた。

 採油施設2か所がドローン攻撃を受けたこのパイプラインは、同国を東西に横断するように設置されており、1日に原油500万バレルの輸送が可能。ペルシャ湾(Persian Gulf)からホルムズ海峡(Strait of Hormuz)を経由する輸送経路が封鎖された際には、戦略上重要な代替ルートとなる。

 またこれに先立つ12日にも、何者かがサウジ船籍の2隻を含むタンカー4隻に対する破壊行為に及び、ペルシャ湾周辺の緊張がさらに高まった。アラブ首長国連邦(UAE)の政府関係者によると、同国とサウジに加え、米、仏、ノルウェーの3か国が、これら4隻に対する破壊行為の調査に加わる予定だという。

 世界最大の原油輸出国であるサウジ政府は、「これら一連のテロおよび破壊行為は、わが国だけでなく、世界への石油供給の安全と世界経済をも標的としている」という見方を示した。

 今回の一連の攻撃は、米国とサウジアラビアに敵対するイランとの間の緊張が高まる中で発生。ただ米国と同盟関係にあるサウジとUAEは、これらの攻撃の性質については依然詳細を明らかにしていない。(c)AFP/Rania Sanjar and Shatha Yaish in Dubai