【5月15日 AFP】世界の大国に成長した中国と米国の間で貿易戦争による緊張状態が続く中、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は15日、文明間の「衝突などない」と断言し、人種の優位性を説くことは「ばかげている」と一蹴した。

 習氏の発言は、米国務省のキロン・スキナー(Kiron Skinner)政策立案局長による発言に反応したもの。スキナー氏は先月行われた安全保障関連のフォーラムで、米中間の競争を「全く異なる文明同士の、異なるイデオロギーの戦いだ」と発言。さらに、中国は米国にとって初めての「非白人大国の競争相手」だと表現していた。

 これに対し習氏は、北京で開幕した「アジア文明対話大会(Conference on Dialogue of Asian Civilisations)」の開会式で、「自らの人種や文化がより優れていると考え、他の文明を変えたり、あるいは置き換えることを主張するのはばかげた考えで、悲惨な結果を招く行動だ」と述べた。

 さらに「異なる文明間の衝突など起きていない。われわれはすべての文明に美を見いだす目を養う必要があるだけだ」と言い添えたが、米国については言及しなかった。

 米中貿易協議が暗転してから1週間足らず。米国は10日から、2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する関税を引き上げた。またさらに3000億ドル(約33兆円)分の関税も引き上げると表明した。

 一方、中国は来月1日より、米国からの輸入品600億ドル(約6兆5000億円)相当に対し報復関税を課すと発表している。(c)AFP