【5月15日 AFP】パリで14日、仏軍がアフリカ西部ブルキナファソで先週実施した人質救出作戦中に死亡した兵士2人の追悼式典が行われた。この作戦で救出された4人のうち、観光客2人は危険とされる地域を訪れていたことから批判の声が上がっている。

 死亡した仏海軍の特殊部隊「ユベル(Hubert)」所属のセドリック・ド・ピエルポン(Cedric de Pierrepont)氏(33)とアラン・ベルトンセロ(Alain Bertoncello)氏(28)の追悼式典は旧廃兵院アンバリッド(Invalides)で行われ、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領らが参列した。

 兵士、消防隊員、退役軍人らがアンバリッドに通じる橋に並び、2人のひつぎを運ぶ厳粛な車列を見守った。式典には大勢の人が参列し、涙を流す遺族や顔を布で覆った特別部隊の隊員らの姿もあった。

 45分間の式典の中で式辞を述べたマクロン大統領は、感情もあらわに「フランスはいかなる状況でも国民を見捨てない国だ」と話し、「フランス国民を攻撃するものは、わが国が退くことは決してないと知るべきである。彼らは常にわが軍、精鋭の兵士、そして同盟軍に直面するだろう」と付け加えた。

 今月9日夜から10日にかけて行われた作戦で救出されたフランス人の人質2人パトリック・ピック(Patrick Picque)さんとローラン・ラシムイヤ(Laurent Lassimouillas)さんは今月1日、ブルキナファソ国境に近い隣国ベナンにあるパンジャリ(Pendjari)国立公園を観光中に拘束されていた。一緒にいたガイドは殺害された。

 救出作戦では、拘束されていた米国人と韓国人の女性ら2人も助け出されたが、特殊部隊は女性らの存在についてまったく知らされていなかった。

 この事件によって、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」系の組織が勢力を拡大しているアフリカ・サハラ砂漠以南の広大なサヘル(Sahel)地域の治安の不安定さが浮き彫りになった。

 フランスでは兵士2人の死を悼む一方で、観光で危険な場所に行っていた仏人2人に対する批判の声も上がっている。ジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)仏外相は11日、この旅行者2人が渡航の回避が呼び掛けられている地域を訪れ、「相当なリスク」を冒していたと述べた。

 フランスは2013年、西アフリカのマリ北部を一時支配下に置いたイスラム過激派を掃討するため軍事介入した。仏軍はそれ以降、サヘル地域に展開しており、今回死亡した2人を含めてこれまでに26人の兵士が死亡している。(c)AFP/Stuart WILLIAMS