■数千年が2年に

 プロジェクトに参加する地質学者のサンドラ・オスク・スナイビョルンドッティル(Sandra Osk Snaebjornsdottir)氏は、「試験注入では、注入したほぼすべてのCO2が2年以内に石化した」と語った。一度石化したCO2は、ほぼ永久的にその場に閉じ込められるという。

 アイスランド大学の地球化学者シグロウル・ギスラソン(Sigurdur Gislason)氏は「火山噴火が起きて石の温度が極度に上がれば、鉱物の一部が崩壊し、水に溶けだす可能性はある」と話す。だが、「炭素を貯留する方法としてこれが最も安全で安定している」と言う。

 この地域で最後に火山が噴火したのは、約1000年前までさかのぼる。

 カーブフィクス・プロジェクトによって、ヘトリスヘイジ発電所のCO2排出量は3分の1に削減された。1トン当たり約25ドル(約2700円)で、これまでに約1万2000トンのCO2を回収貯留した。一方、アイスランドの火山群は毎年100万~200万トンのCO2を吐き出している。

 この回収貯蓄法の欠点は大量の脱塩水を必要とすることで、CO2を1トン注入するために必要な脱塩水は約25トンに上る。アイスランドでは脱塩水は豊富だが、世界の多くの地域では希少だ。スナイビョルンドッティル氏は「これがアキレスけんだ」と話す。

 そのため現在、この方法を塩水に適応させる実験が行われている。

 映像は4月11日撮影。(c)AFP/Jeremie RICHARD