【5月13日 AFP】インド当局は12日、ヒマラヤ山脈(Himalayas)の渓谷で少なくともヤク300頭が餓死したと発表した。同地では今冬、例年にない厳しい天候がしばらくの間続いたという。

 インド北東部シッキム(Sikkim)州当局によると、苦境を知らせる連絡を最初に受けたのは昨年12月。非常に激しい降雪の後、州都ガントク(Gangtok)から70キロほど離れた辺境地帯にあるムクタン(Mukuthang)渓谷で、隔絶して暮らしている住民約50人が、ヤクの群れ1500頭近くに餌を与えるための支援を要請した。

 地元当局職員はAFPに対し、「ヤクの元へ行こうと何度も試みたが駄目だった。天候のせいで陸路でも空路でも到達できなかった。現在はすでにたどり着き、これまでに少なくともヤク300頭が死んでいるのを確認した」「地元住民らは、ヤク500頭が餓死したと言っている。確認を進めており、約50頭が応急措置を受けている」と説明した。

 ヤクは住民にミルクを提供し、乳製品や毛織物の原料となる他、運搬手段にもなる。

 また経済が観光に依存するこの地域では、ヤクの存在は欠かせない。

 同地域では毎年数頭のヤクが極限の状況下で死んでいるが、当局によると、今年死んだヤクの頭数は前例がない規模だという。

 先の職員は「天候が非常に厳しかった。12月に激しい降雪がしばらくの間続き、さらに積雪したことにより、草が育たなかった。ヤクは寒さと飢餓の両方が原因で死んでいる」と述べた。(c)AFP