在イスラエル米大使館のエルサレム移転から1年、影響と現状
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【5月13日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が歴代政権の方針を転換してエルサレムをイスラエルの首都と認め、在イスラエル米大使館をテルアビブからエルサレムに移転してから間もなく1年がたつ。
米大使館のエルサレム移転によって外交的決裂は決定的となり、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)のイスラエル境界線付近では流血の抗議デモが起きた。
長く待たれてきた中東和平案の発表へ向けてトランプ政権は準備を進めているが、この1年で何が変わったのだろうか?
■エルサレムで何が起きているか?
国際的な非難を無視し、トランプ政権は2018年5月14日、エルサレムへ移転した大使館の開設式を華々しく行った。これによりトランプ氏は、ユダヤ、イスラム、キリスト教の信者にとって聖地とされるエルサレムをイスラエルの首都として認めるという最も議論を醸していた公約を実現したということを明らかにしてみせた。
イスラエルにとって米大使館のエルサレム移転は、ユダヤ人とエルサレムの3000年に及ぶ関係を認められた「歴史的」な出来事だった。一方、東エルサレムを将来の独立国家の首都として思い描いていたパレスチナ人は憤激した。
エルサレムの帰属は、1948年のイスラエル建国に伴う第1次中東戦争以来、係争中となっている。イスラエルはこの戦争で西エルサレムを制圧した。さらに1967年の第3次中東戦争(Six-Day War)では、パレスチナ人が大半を占める東エルサレムを占領し、後に併合したが、国際社会はこれを一切認めなかった。
■ガザ地区では何が起きているか?
ガザ地区では2018年3月、第1次中東戦争で避難したり、追放されたりしたパレスチナ人が、イスラエルへ組み込まれた土地への帰還を求め、抗議デモ「帰還の大行進(Great March of Return)」を開始した。
デモは米大使館のエルサレム移転に対する抗議でもあり、デモ隊はイスラエルが安全保障上必要だとして約10年にわたり実施し、ガザ地区に大打撃を与えているガザ封鎖の解除を要求した。ガザ地区のイスラエル境界線付近ではそれ以来、毎週のように衝突が繰り広げられている。
エルサレムの米大使館開設式の日に起こった衝突では、イスラエル側の発砲で少なくとも62人のパレスチナ人が殺害された。
翌15日は、1948年のイスラエル建国に伴いパレスチナ人数十万人が難民となった出来事「ナクバ(Nakba、アラビア語で「大災厄」の意味)」から70年に当たる日と重なっていた。