【5月12日 AFP】今月初めに大型サイクロン「ファニ(Fani)」の直撃で壊滅的な被害を受けたインド東部では、現在も数百万人が電気や避難所のない生活を強いられている。災害当局が11日、明らかにした。進まない救援活動に怒った被災者たちが、抗議デモを行ったとの報道もある。

 今月3日にインド東部を直撃したファニにより、オディシャ(Odisha)州と隣国バングラデシュでは少なくとも42人が死亡した。

 オディシャ州の救援活動責任者によると、同州では約165万人が被災。損壊家屋は50万棟に上った。この他、家畜870万頭が死傷または行方不明で、飼育下にあった鳥370万羽が死んだ。現在は州全土で電気通信網の復旧作業を続けているという。

 インドは今回、ファニの上陸に備えて進路上の住民120万人を速やかに避難させ、死者数を最小限に抑えたとして、国連(UN)や災害専門家らに称賛された。

 オディシャ州は1999年にもスーパーサイクロンに見舞われ、1万人近い死者を出しているが、気象予報モデルの改善や防災意識向上キャンペーン、大規模な避難訓練の実施などが功を奏し、今回は最悪の事態を逃れることができた。

 だがその一方で、地元メディアによると、ファニの上陸地で最も大きな被害が出ているプリー(Puri)では、遅々として進まない救援活動に怒った被災者たちが抗議のデモを行い、電力の復旧を求めるデモ隊が電力会社に押し寄せたという。電力会社職員はPTI通信に10日、「怒ったデモ参加者たちは、われわれを脅し、襲撃しようとして怖かった」と語っている。(c)AFP