【5月11日 AFP】イングランド・プレミアリーグのアーセナル(Arsenal)は、アゼルバイジャンで行われるチェルシー(Chelsea)とのヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2018-19)決勝で、同国と外交上の緊張状態にあるアルメニア出身のMFヘンリク・ムヒタリアン(Henrikh Mkhitaryan)がプレーできない可能性があると「大いに懸念」している。

 アルメニア代表の主将ムヒタリアンは、アゼルバイジャン西部のナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)自治州をめぐる両国間の紛争により、昨年のグループステージではガナーズ(Gunners、アーセナルの愛称)のメンバーとしてカラバフFK(Qarabag FK)とのアウェーゲームには帯同しなかった。

 9日に行われた準決勝で、アーセナルはバレンシア(Valencia CF)に2戦合計7-3で勝利し、29日にアゼルバイジャンの首都バクーで開催される決勝の切符を手に入れたが、再び同様の問題に直面した。

 アーセナルはコメント文を発表し、「ヘンリク・ムヒタリアンがヨーロッパリーグ決勝の開催地バクーに安全に遠征できるように、欧州サッカー連盟(UEFA)からの保証を求めている。アーセナルとミッキー(Micki、ムヒタリアンの愛称)は、彼が遠征メンバーに加わることを望んでいる」と述べた。

「条件を満たした保証はまだ得られていないが、UEFAが速やかに対応してくれることを願っている」「ヨーロッパリーグ決勝でミッキーがプレーできない可能性があることを、われわれは大いに懸念している」

 3万人の命が失われたとされる1990年代初頭の紛争でアルメニアがナゴルノカラバフを占領して以降、同国とアゼルバイジャンは同地をめぐる対立が続いている。1994年には停戦に合意したものの、両国は何度も戦火を交えるなど関係がこう着状態に陥っている。

 こうした敵対関係が続く中、ムヒタリアンは2015年のボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)時代にも、ヨーロッパリーグのガラバFK(Galaba FK)戦で遠征メンバーに加わらなかった。

 UEFAは英PA通信(Press Association)へのコメント文で、「UEFAが各協会、クラブ、大使館に書簡を送り、選手がビザを取得して当連盟主催の大会に出場できるようにするのは通常の手順である」と述べた。(c)AFP