【5月10日 AFP】韓国環境省は、朝鮮半島(Korean Peninsula)の軍事境界線を挟んで南北に設けられている非武装地帯(DMZ)で、希少なツキノワグマの姿が撮影されていたと発表した。

 世界で最後に残る冷戦(Cold War)の前線地帯となっているこの幅4キロのDMZとその周辺には、地雷と要塞が密集している。一方で、開発から手付かずの自然が残る数少ない地域の一つでもあり、野生生物の楽園として知られている。

 同省によると、研究用の無人カメラがツキノワグマの姿を捉えたのは昨年10月。かねて複数の兵士から、DMZ内でツキノワグマを見たという目撃情報はあったものの、カメラに映ったのはこれが初めてだという。

 国立生態院(NIE)は、このツキノワグマは生後8~9か月の子どもで、体重は25~30キロと推定。DMZ内で親グマと一緒に暮らしているとみられるという。

 ツキノワグマは、国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト(Red List、絶滅危惧種リスト)」で「絶滅危惧II類(VulnerableVU)」に分類されている。

 韓国政府によると、DMZには5000種以上の動植物が確認されており、中には希少種の野生ヤギやキタオットセイなども生息しているという。(c)AFP