【5月13日 CNS】中国・湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)の観光客が同市の九峰森林動物園で撮影した「犬とオオカミが同居」する動画が、ネットユーザーの注目を集めている。犬をオオカミから離す必要があるのではという指摘もあるが、動物園側では「仲良くしているので引き離す必要はない」と回答している。

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 動物園には、確かにオオカミ舎の中に小柄な犬が1頭いた。犬とオオカミは追いかけっこをしたり、体をなめ合ったりしており、激しいけんかやエサを奪い合うなどの様子はない。

 動物園の猛獣エリアを担当する余傑(Yu Jie)飼育員は、「園にはオオカミ5頭がいて、もともとは一つのオオカミ舎で飼育していましたが、2014年にあるオオカミ同士で争って負傷してしまい、けがをしたオオカミの安全を確保するために園側で手配したのが、この単独のオオカミ舎なのです」と説明する。

 ところが、本来群れを形成して生活するオオカミが単独生活になったことで、このオオカミは悲しそうに吠えることが多くなり、体の状態もだんだん悪くなった。獣医には「うつ病」の可能性があると診断され、園ではオオカミの孤独感などを和らげるために17年10月、試験的に2歳の雌犬をオオカミ舎に入れて様子を見ることにしたのだという。

 犬と生活を共にするようになって、オオカミの状態は徐々に改善。悲しそうな鳴き声を出すことはほとんどなくなったという。「オオカミはまるで自分のパートナーのように犬に接していますよ。毎日、飼育員がエサの鶏肉を与えると、オオカミは犬が食べ終わるまで見守ってから、自分が食べるんです」と余飼育員。

「今、オオカミは換毛期で、数日前にこのオオカミが抜けた毛を落とそうとして不注意で顔に擦り傷を作ってしまった時には、犬がオオカミの傷口をなめていましたよ」。2頭の仲睦まじい姿に、余飼育員はとても満足そうだ。

 多くの来園客が関心を持っている、オオカミと犬が交尾するかどうかについて、余飼育員は「このオオカミは現在少なくとも11歳と高齢なので、確率的に見て交尾することはないだろう」と説明する。

 九峰森林動物園ではかつて、熱心な来園者から、オオカミと犬を離したほうがよいのではと提案されたことがあるという。園側は大量の資料を調べ、専門家に相談した。その上で、「犬はもともとオオカミの亜種。互いを傷つけない限りは、2頭を無理に引き離す必要はないだろう」と回答している。(c)CNS/JCM/AFPBB News