ペンギンやアザラシのふん、南極の生命繁栄の支えに 研究
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■ペンギンのコロニーが指標に
研究チームは最終的に、今回の研究結果を用いて南極半島(Antarctic Peninsula)全域にあるホットスポット(生物多様性が極めて高い地域)の地図を作製した結果、ペンギンのコロニーが生物多様性を反映する指標となっていることを発見した。
この地図は将来、繁殖コロニーの大きさと位置を確認するための衛星画像を用いて更新できる可能性がある。これにより未来の科学者らは、危険な実地調査を実施する必要がなくなるかもしれない。
■「理想的な自然の実験室」
ボクホルスト氏にとって南極は、栄養物と生物多様性との関係を調べるための「理想的な自然の実験室」だ。生態系がはるかに複雑な世界の他の地域とは対照的に、食物連鎖全体が単純だからだ。
だがその一方で、南極大陸の生態系については、要素間の結び付きの強さと、そこから見えてくる人的活動に対する脆弱性(ぜいじゃくせい)も、今回の研究で明らかになった。
南極半島で繁栄している無脊椎動物群集は、捕食動物にほとんど直面していない。しかし、観光ブームの到来によって種子や昆虫などが持ち込まれる可能性はますます高くなっている。今後、これらの外来種が、栄養豊富な土壌から恩恵を受けて定着し、在来種を脅かす恐れもある。
「これは南極に対してより慎重になるべき十分な理由となるだろう」と、ボクホルスト氏はコメントしている。(c)AFP/Issam AHMED