【5月18日 AFP】南スーダンで暮らす12歳のスティーブン君は、車椅子に乗った患者たちの間を通り抜けながら、日当たりの良い中庭ではしゃぎ回っていた。友達と遊んでいるときでも、義足はほとんど邪魔にならない。

 5歳のとき、同国北部ベンティウ(Bentiu)で家族と共に乗っていた車が地雷で吹き飛ばされた。祖母は死亡し、スティーブン君も重傷を負い、ぐちゃぐちゃになった左脚を切断しなければならなくなった。

 スティーブン君は、赤十字国際委員会(ICRC)が首都ジュバで運営するリハビリセンターに空路搬送された。同施設には義肢工房と病院が併設されており、全国各地から義肢を求めて患者が訪ねて来る。

「これのおかげで学校へ行けるようになったんだ」と、スティーブン君は義肢を指さしながら、恥ずかしそうに言った。

 南スーダンの5年におよぶ内戦では、推定数万人が手足を失ったとされるが、正確な数字は分からない。ICRCによると、ジュバの施設を訪れる患者のおよそ60%は、銃撃による傷を負うか、障害がある。その数は、人口の3分の1に当たる。

 工房では、技師らが機械にセットした義足の型を回転させながら石こうを厚く塗り、成形加工した後、茶褐色の大量のプラスチックで義足を作っていく。

 工房責任者のエマニュエル・ロウバリ(Emmanuel Loubari)氏によると、義肢は測定と型取りを含めて1日で完成する。同施設では昨年、580本の義肢が製作され、ICRCがその費用をすべて負担した。

 だが義肢を必要とする患者は、多くの課題に直面している。「本来なら義肢を装着できる患者はたくさんいますが、この施設に来ることができないのです」とロウバリ氏は言う。