【5月26日 AFP】2017年、パキスタン人と結婚したウイグル人女性たちが、中国政府によるイスラム過激派排除の捜査網にとらわれ、その姿を消した。これらの女性たちが最近になって解放されはじめている。しかしパキスタン人の夫らは、その解放には大きな代償が伴ったと話す。戻ってきた妻たちが「中国社会への適応」の証明を強要されており、宗教的戒律をも犠牲にしているというのだ。

 中国には「職業教育センター」と称する強制収容所がある。ここには100万人近くの収容者がいるとみられているが、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)出身のウイグル人妻約40人もその一部だった。

 夫たちによると、強制収容所で妻たちはイスラム教で禁止されている行為「ハラーム」を強要され、それは解放された今でも同じように続いているという。

 最近、妻に会うため新疆にある妻の実家を訪ねたというあるパキスタン人の男性は、匿名を条件にAFPの取材に応じ「妻は豚肉を食べたり酒を飲んだりしなければならず、今でもそれを強要されていると話していた」と述べた。

 また「当局者から、連れ戻されたくなければ、過激思想を捨てたことを証明する必要があると言われたようだ」と説明し、実家に戻った妻は礼拝をやめ、コーランの代わりに中国関連の本を読んでいると続けた。

 貿易商を営む男性たちは、妻を新疆に残し、仕事のために数週間から数か月間パキスタンに戻ることがある。そのため、イスラム国家であるパキスタンとのつながりを理由に収容所に連れて行かれたと考える夫もいる。

 強制収容所はウイグル人を含むイスラム教徒弾圧の一環で設置されたが、国際社会から激しい批判を受けたことや中国とパキスタンの経済的結びつきが深まっていることを踏まえ、政府は2か月前から徐々に女性たちを解放している。

 新疆に接するパキスタンのギルギット・バルティスタン(Gilgit-Baltistan)地域当局の報道官は「(ウイグル人妻の)大多数」が解放されたことを確認している。