【5月9日 AFP】1979年に米史上最悪の原発事故を起こした米ペンシルベニア州のスリーマイル島(Three Mile Island)原子力発電が、今年9月いっぱいで閉鎖されることになった。同原発を運営する米電力大手エクセロン(Exelon)が8日、明らかにした。

 エクセロンは採算のとれないスリーマイル島原発の操業を継続するため、ペンシルベニア州議会に助成金の交付を求めてきたが、燃料購入期限内の実現は不可能と判断した。

 エクセロンのキャサリーン・バロン(Kathleen Barron)上級副社長は、「スリーマイル島原発用の燃料購入期限の6月1日までに、政策変更に向けての前進は望めないと考えている」と述べ、ペンシルベニア州ミドルタウン(Middletown)にあるスリーマイル島原子力発電所1号機を、9月30日までに閉鎖する方針を明らかにした。

 同社は2年前、州議会からの支援がなくなれば、スリーマイル島原発は閉鎖を余儀なくされる恐れがあると警告していた。スリーマイル島原発は、2034年までの運転が認められていた。

 原発は近年、天然ガスなどによるより安価な発電方式との競合にさらされてきた。

 スリーマイル島原発で1979年3月28日に発生した部分的な炉心溶融事故は、1986年にウクライナで起きたチェルノブイリ(Chernobyl)原発事故や2011年の東京電力(TEPCO)福島第一原子力発電所の大惨事と比べるとかすみがちだが、今なお米史上最悪の原発事故となっている。

 0から7までの国際原子力事象評価尺度(INES)で、スリーマイル島原発事故は「レベル5」、チェルノブイリ原発事故と福島第一原発事故は「レベル7」に位置づけられている。

 スリーマイル島原発事故では死者や重傷者は出ていないが、原発の安全性に対する懸念を米全土に巻き起こし、原発新設にブレーキをかけた。(c)AFP