【5月9日 AFP】メキシコ中部モレロス(Morelos)州の州都クエルナバカ(Cuernavaca)で8日、大勢の人でにぎわう中央広場で銃撃事件が発生し、メキシコ最大の労働組合連合会「メキシコ労働組合連盟(CTM)」の幹部2人が死亡、複数の幹部や報道関係者、居合わせた人々が負傷した。地元当局と被害者の親族が明らかにした。

 若い男が群衆に向けて発砲したのは、州政府庁舎前に広がる中央広場。当時、広場は行き交う人々でごった返していた。AFPのダビド・モンロイ(David Monroy)記者によれば、少なくとも5回の銃声が響くまでは「いつもと変わらない朝だった」という。

 メキシコのテレビ局が放映した映像には、事件後、容疑者とみられる男が広場を横切って逃走を図り、複数の警官が追いかける様子が映っていた。この男は逮捕されたが、身元は確認できていない。

 死亡した2人は、CTMの地元連合会長を務めていた実業家のヘスス・ガルシア(Jesus Garcia)さんと、CTMモレロス支部の副書記長の息子で自身も書記を務めるロベルト・カストレホンカルデロン(Roberto Castrejon Calderon)さん。

 CTMは、中央広場での露店の場所取りをめぐって別の労働組合「新労働組合(NGS)」と激しく対立していた。銃撃の直前、露店の規制見直しについてNGSと州政府が協議を行っており、ガルシアさんはこれに合わせて、CTMも協議に参加させるよう抗議デモを主導していた。

 カストレホンカルデロンさんの父親はインターネット上に動画を投稿し、わが子が殺害されたのはNGSの指示に違いないと主張している。

 メキシコでは労働組合が雇用者側や当局と裏取引を行うなど、腐敗のまん延が長年の問題となっている。(c)AFP