【5月10日 AFP】仮面をつけた人物や動物を描いた布で有名なコートジボワールのファカハ(Fakaha)は、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)が訪れたとうわさされている小さな村だ。

 60代の村の住民、ソロ・ナバギ(Soro Navaghi)さんは、この真偽をめぐる論争に決着をつける意気込みで「絶対確かだ。彼はここに来た。私は見た」と主張する。

 観光案内のパンフレットやインターネットには、経済の中心都市アビジャン(Abidjan)から約650キロ離れた遠い北部のこの村にピカソが訪れたとの話があふれている。フランスの旅行ガイド「プティフュテ(Petit Fute)」はファカハについて、セヌホ(Senufo)人が絵を描いた手紡ぎ木綿の布で「世界的に有名な地」と紹介、ピカソらしき人物の訪問にも言及している。

 アフリカとピカソに関する一つの伝説ができあがったが、ピカソ本人はファカハ訪問について一度も語ったことがなかった。だが多くの美術評論家は、アフリカの彫刻とピカソの作品の一部の類似性を取り上げ、アフリカの象徴性と心象がピカソのインスピレーションの源泉の一つだと解釈している。

■上半身裸で靴も履かずに

 ファカハの住民数百人は、スペイン・アンダルシア(Andalusia)地方出身の著名な画家・彫刻家のピカソが、コルホゴ(Korhogo)への幹線道路から約15キロ離れたこの村を偶然見つけ、ここで着想を得たことを信じて疑わない。

 そしてピカソの作品とファカハの画家たちの作品の間には明白な類似性がある。

 ソロさんは「彼はここに来た。われわれに刺激されたんだ」と繰り返す。

 ピカソはコルホゴへ向かう途中に車が故障し、徒歩で進むうちに「上半身裸で靴も履かない」姿で村に現れたのだという。