【5月8日 AFP】イングランド・プレミアリーグ、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)をけん引する孫興民(Heung-Min Son、ソン・フンミン)の兄が、欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)で決勝進出を目指す弟の成功の一因として、父のユニークなサッカー教育があったとAFPに明かした。

 現在26歳の孫は、チャンピオンズリーグ準々決勝の2試合でマンチェスター・シティ(Manchester City)から計3ゴールを奪うなどし、トッテナムの4強入りに大きく貢献した。0-1で敗れたアヤックス(Ajax)との準決勝第1戦は出場停止処分のため欠場したが、8日に行われる第2戦では不可欠な存在になるはずだ。

 孫の3歳年上の兄であるソン・フンユン(Heung-Yun Son)氏は、欧州から遠く離れた場所で、この一戦をしっかりと観戦するだろう。

 孫とフンユン氏の父親で、元サッカー選手のソン・ウンジョン(Woong-Jung Son)氏は、息子たちをトップ選手に育て上げるため、厳格かつ規律ある練習法で指導した。

 フンユン氏は「僕らの生活はすべてがサッカーを中心に回っていた」と話し、「父からは、サッカーのために早く眠り、しっかりと食べなくてはいけないと言われた」「父は、人生は短いから好きなことをするべきであり、いざやると決めたら、少し気が狂うまで突き詰めるべきだといつも言っていた」と続けた。

 ボールコントロールを重視することで知られるウンジョン氏は、シュート練習や、勝利だけに目が行きがちになってしまうクラブチームへの参加を認めないことで、孫の基礎を築いた。

 選手としてはドイツ5部リーグにしか届かなかったものの、現在は父親が運営するソン・フットボール・アカデミー(SON Football Academy)でコーチを務めるフンユン氏は「僕らはとても厳しく育てられた」「練習中に父から何度もたたかれた。最近では考えられないことだけど」「近所の人の中には、本当の父なのか疑う人もいた」と話した。

 それでも孫とフンユン氏は、練習前に何時間もかけて土に含まれる小石を拾っていた父親のことを尊敬し、「法律」である父親の言葉を信じたという。

 またフンユン氏は、短気な性格が似た父親としばしば衝突したというが、弟はすべてを受け止めていたと明かし、「父から厳しく叱られた時でさえ、興民は気にすることなく笑っていられた」と振り返った。(c)AFP/Sunghee Hwang