【5月7日 AFP】米大リーグ(MLB)、ボストン・レッドソックス(Boston Red Sox)のアレックス・コーラ(Alex Cora)監督が6日、ワールドシリーズの優勝チームに敬意を表する同国ホワイトハウス(White House)での歓迎会について、ハリケーン「マリア(Maria)」による母国の被災状況を理由に、出席を見送る意向を示した。

 米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)出身のコーラ監督はこれまで、2017年に母国が見舞われた大災害に関して、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が率いる政権の対応を批判してきた。2018年に実施された独立調査によると、同地に甚大な被害をもたらしたこのハリケーンでは3000人近くの死者が出たという。

 コーラ監督は同日、ハリケーンに襲われて以降母国では生活基盤の復興が十分でないとして、9日に予定されている表敬訪問に出席しないと明らかにし、「残念ながら、われわれは今も苦しみ、闘い続けている」「今も生活必需品が不足していたり、電気のない生活を送っていたりする人々がいる。家や学校の多くは、ハリケーンマリアに襲われてからほぼ一年半もの間、荒れ果てたままだ」と訴えた。

「私はこれまで何度も、プエルトリコの人々が忘れ去られてはならないと声を上げてきた。私が欠席しても何の影響もないし、今はホワイトハウスで祝う気分にはなれない」と話したコーラ監督はまた、今回の決断については近しい人々に相談した上でのことだったと明かし、「自分に一番近しい人々に相談し、それが最良の方法であると判断した」とコメントした。

 現地紙ボストン・グローブ(Boston Globe)によると、レッドソックスが出席に関して任意としている今回の表敬訪問をめぐってはチーム内でも意見が分かれており、2018年のア・リーグシーズン最優秀選手(MVP)に選出されたムーキー・ベッツ(Mookie Betts)をはじめ、デビッド・プライス(David Price)投手、ジャッキー・ブラッドリー・ジュニア(Jackie Bradley Jr.)中堅手のアフリカ系米国人3人は、そろって欠席する予定となっている。

 さらに、イグザンダー・ボガーツ(Xander Bogaerts)遊撃手とラファエル・デバース(Rafael Devers)三塁手のほか、プエルトリコ出身のクリスチャン・バスケス(Christian Vazquez)捕手も出席を見送ると伝えられた。

 トランプ氏が大統領に就任した2016年以降、米国内では各スポーツの優勝チームによるホワイトハウスへの表敬訪問は、政治問題として話題を呼んでいる。ある集計結果では、これまで各リーグを制したプロ及び大学スポーツの20チームのうち、半数が招待されなかったり出席を拒んだりしたことが判明している。また、表敬に訪れたチームについても、その人数は限られていた。

 これまで欠席した中では、2017年と2018年にプロバスケットボール(NBA)でファイナル制覇を果たしたゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)と、ナショナルフットボール(NFL)で第52回スーパーボウル(Super Bowl LII)を制したフィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia Eagles)が最も大きな話題を呼んだ。(c)AFP