【5月6日 AFP】東南アジアのブルネイで先月施行されたシャリア(イスラム法)に基づく厳格な新刑法をめぐり、不倫や同性間の性交渉に石打ちによる死刑を科すとの規定について、ハサナル・ボルキア(Hassanal Bolkiah)国王は5日、適用を猶予すると表明した。ただ、人権団体などは6日、国王の声明では不十分だとして、シャリア刑法そのものの撤廃を要求している。

 シャリアに基づく新刑法は4月に完全施行され、ブルネイは東アジアと東南アジアで唯一、国家レベルでシャリア法を適用する国となったが、これに対し国際社会で反発が広がっていた。

 窃盗罪なら手足切断刑の対象となる新刑法をめぐっては、世界各国の政府や人権団体から強い抗議の声が上がり、国連(UN)は人権に対する「明らかな違反」だと非難。米俳優ジョージ・クルーニー(George Clooney)さんら著名人がブルネイ系ホテルのボイコットを呼び掛ける事態となった。

 ブルネイの全権を事実上掌握するボルキア国王は5日、テレビ放映された演説で、新刑法の導入が招いた国際的な反発に初めて言及。シャリア刑法について「多くの疑問や誤解」が生じていると述べた上で、シャリアによらない一般刑法でも既に死刑執行が猶予されており、シャリア刑法にも同様の措置を適用すると表明した。

 イスラム教徒が多数を占めるブルネイでは、一般刑法でも殺人や麻薬密輸などの犯罪には絞首刑が適用されるが、ここ数十年は死刑が執行されたことはない。

 ボルキア国王は「わが国では、一般刑法に基づく死刑判決は事実上、執行が猶予されてきた」と指摘し、これをシャリア刑法に基づく事例にも適用し「減刑への道を開く」と述べた。(c)AFP